short eyes
Short Eyes / Curtis Mayfield
 Curtom '77 

70年代前半にはニュー・ソウル傑作を連発したカーティスも、75年の『There's No Place Like America Today』を最後に社会派路線から撤退、以降の作品は甘いラヴソング中心。それでも『Give,Get,Take And Have』『Never Say You Can't Survive』とそれなりに聴きどころのある佳作に仕上がっているのは流石。
そんなカーティスが一時的に社会派路線に復帰したのが本作『Short Eyes』。シリアスな監獄モノ映画のサントラという性質上、ハードな内容になったのは当然の帰結だが、さすがに『Superfly』ほどとは行かないものの、サウンドもかつての鋭さをある程度取り戻しているあたり、サントラ巧者の面目躍如といったところ。
白眉は1曲目の「Do Do Wap Is Strong In Here」。ウネるグルーヴに絡みつくワウ・ギター、生々しく刻むパーカッション、ザックリとした切り口のドライな音像にヒリヒリとした緊張感が漂うファンキーな名曲。この曲で見せる往年の神通力がアルバム全編に行き渡っているわけではないが、サントラらしいテンションは終始キープされている。ガラス細工のように繊細なカーティスの歌に、アーニー・アイズレー調のギターが嘶くスロウ「Back Against The Wall」、グループ・スタイルのシカゴ・ソウル「Need Someone To Love」、スラップ・ベースにパーカッションが絡むディスコティークな「A Heavy Dude」、クールなストリート・ソウル「Short Eyes(Freak,Freak,Free,Free,Free)」、哀愁湛えるコーラスがハードな生き様を伝える「Break It Down」、ムーディーなスロウ「Another Fool In Love」、ノスタルジックなインスト「Father Confessor」と好曲揃いの力作。