just me n you
Just Me 'N You / J.R. Bailey
 Mam '74 

JRベイリーというと、まずはダニー・ハサウェイ「Love,Love,Love」のライターとして名を残す人だが、74年にリリースした本作『Just Me 'N You』もニュー・ソウル/スウィート・ソウルの名盤として名高い。
マーヴィン・ゲイ『What's Going On』が多くのシンガー/ミュージシャンを触発し影響を与えたことは言うまでもないが、サウンド面において本作ほど類似性を感じさせる作品は他にない。豪奢なストリングス・アレンジ、柔らかなラテン・パーカッション、ジャズの影響も見せるシルキーでメロウなグルーヴは、『What's Going On』を忠実になぞっている。ただ詞作面においては、『What's Going On』とは違いラヴ・ソング主体で、甘くムーディーな雰囲気のスウィート・ソウル的な曲も多かったりする。マーヴィンと同じくドゥー・ワップ・グループからキャリアをスタートしたというベイリーの伸びやかなヴォーカルは、ポピュラー・シンガー的な側面も感じさせる(そこもまたマーヴィンに通じるものがある)が、十分にソウルフル。
アルバム冒頭から「After Hours」~「Heaven On Earth」と、『What's Going On』さながらの組曲風の展開を見せる。スリリングかつメロウなストリームを描くストリングスと、クールでジャジーなホーンなど、見事な構成力。続くタイトル曲「Just Me 'N You」はニュー・ソウルど真ん中のメロウ・グルーヴィー・ソウル。ジワジワと迫ってくるようなリズム、甘く口溶けるメロディとヴォーカルも素晴らしい。この頭3曲の流れはとにかく気持ちいい。雷雨の擬音と語りをフィーチャーした「She Called Me」、甘酸っぱさが口いっぱいに広がる「Cute As A Button」は、コーラス・グループ・スタイルのスウィート・ソウル。
「Love,Love,Love」のベイリー自身によるヴァージョンは、さすがにダニーの洗練された解釈には及ばないものの、垢抜けない籠った音がダニー版とはまた異なる妖しいスウィートネスを醸している。ほんのりラテン・ソウル的な「I'll Always Be Your Lover」、これもグループ・スタイルのロマンティックなスウィート・スロウ「All Strung Out Over You」、甘くムーディーなバラード「Not Too Long Ago」、ラストはノーザン・グルーヴ弾けるニュー・ソウル・ナンバー「Everything I Want I See In You」。