kickback
Kickback / The Meters
 Sundazed '01 

ミーターズの未発表曲/テイク集『Kickback』。
ミーターズの同様の未発表曲集としては、90年代前半にラウンダーから出た『Good Old Funky Music』『The Meters Jam』があり、『Kickback』収録曲の約半数はラウンダーの2枚にも収録されているので、この『Kickback』自体にはあまり目新しさはない。かと言ってこのアルバムが侮れないのは、収録曲すべてが75年~76年に録音されたモノであるという点。
この時期は、シリル・ネヴィル正式加入後の『Fire On The Bayou』、そしてメンバーにとっては不本意なカタチでリリースされてしまった『Trick Bag』があるが、この頃に録られたセッションのうちの一部が『Trick Bag』として世に出、『Trick Bag』から漏れた曲をひとまとめにしたのが『Kickback』ということだと思われる。しかし結果的に『Kickback』の方が出来が良いと感じるのは何だか皮肉。
転がるようなリズムがイカすアール・キングのニューオリンズ・クラッシック・カバー「Big Chief」、シリルが熱く歌うビートルズ「Come Together」のファンク・カバーはなかなか。シリルの歌い手としての魅力が発揮されたバラード「What More Can I Do」とニール・ヤングのカバー「Down By The River」、哀愁滲むアートがヴォーカルを取るバラード「Easy(Trip)」、『Uptown Rulers:Live At The Queen Mary』でも演っていたニューオリンズ・クラシック・メドレー「Rock And Roll Medley」、意外なリズム・ボックス使いながら結構サマになってるスロー・ファンク「All I Do Everyday」、あの特徴的なコーラス・パートを敢えて省いたスティーヴン・スティルス「Love The One You're With」のカバーも興味深い。
オルガンとワウ・ギターのグルーヴが渦巻く「Hang ’Em High」と、ルーズなファンク・ロックのストーンズ「Honky Tonk Woman」のカバーの2曲は、『Trick Bag』収録のものとは別ヴァージョン。イカシたリフを持つカッコいいファンク・チューン「Keep On Marching(Funky Soldier)」と、ピアノが効いたクソカッコいいスロー・ファンク「He Bite Me」、陽気なセカンドライン「Jambalaya」、アール・キングのカバーとなるバラード「A Mother's Love」の4曲は『Fire On The Bayou』のライノ盤CDにもボーナス収録された。