strength
Strength EP / The RH Factor
 Verve '04 

ディアンジェロ『Voodoo』でのスモーキーなホーン・アレンジで強烈なインパクトを残し、R&Bリスナーにも名を知らしめたジャズ・トランペット奏者、ロイ・ハーグローヴ。
『Voodoo』に大きな貢献を果たしたハーグローヴだが、彼自身も『Voodoo』及びその後参加したツアーに大いに刺激を受けたと思われ、RHファクターなるR&B/ネオ・ソウルへクロスオーバーしたサイド・プロジェクトを立ち上げ。そのRHファクター名義での1作目となる2003年作『Hard Groove』は、『Voodoo』をはじめ、ハーグローヴが参加したコモン『Like Water For Chocolate』やエリカ・バドゥ『Mama's Gun』=いわゆるソウル・クエリアンズ3部作に連なる、3部作+1的な作品。ディアンジェロやエリカ・バドゥ、コモン、Qティップといったクエリアンズ及びその周辺の人脈を贅沢に動員した意欲作だった。
本作『Strength』は、『Hard Groove』の翌年にリリースされた作品で、『Hard Groove』から漏れたアウト・テイク集という装いだが、個人的には『Hard Groove』以上に気に入っている。RHファクターの構成メンバーは、前作同様にピノ・パラディーノ、ジェイムス・ポイザー、バーナード・ライト、スパンキーらが名を連ねるが、目立つゲスト・シンガーは前作にも参加したジャネイのルネー・ヌーブルぐらい。前作と比べるとインスト曲主体で、よりファンク色が強く、全6曲のEP仕様だがフル・アルバム以上の充実感。
1曲目の、性急なアフロ・ビート・チューン「Rich Man's Welfare」にいきなり悶絶。激タイトなリズム・セクションが繰り出す弩級ファンク・グルーヴは圧巻で、フェラ・クティ風のホーン・アレンジもカッコいい。続くスピード感のあるジャズ・ファンク・ナンバー「Bop Drop」もカッコよく、この頭2曲が本作のファンクな印象を決定付けている。その他、ルネーがヴォーカルを取るネオ・ソウル風味のアーバンR&B「Strength」、『Hard Groove』収録の「Common Free Style」の別ヴァージョン「For Fun」、「Universe」はハウスっぽいアレンジのジャジーR&B。