vibe
Ⅴibe / Zapp
 Warner Bros. '89 

ザップ名義の5作目『Ⅴibe』。
ニュー・ジャックやヒップホップの台頭でファンク・バンドがほぼ殲滅してしまった80年代後半。直近のロジャー『Unlimited!』やザップ名義の前作『New Zapp Ⅳ U』同様、本作ではドラム・プログラミング主体のソリッドでスクエアなビートになっていて、かつての離着陸を繰り返す粘着質ヒューマン・ビートと、エレクトリックなシンセ・サウンドの有機的な融合が生み出したザップ/ロジャー一流のファンク・クラシックの数々と比較すると、さすがに分が悪い。とは言え、ドラム・マシンの肉感的な使い方にも徐々に慣れてきたようで、その辺りがまだ熟れていなかった『New Zapp Ⅳ U』なんかに比べると、本作は十分に聴き応えがあると思う。
87年のロジャー「I Want To Be Your Man」の大ヒットを受けてということか、本作はファンクではなくスロウからスタート。スモーキー・ロビンソン&ミラクルズの大名曲のカバー「Ooh Baby Baby」は、トーク・ボックスが狂おしいほどのメロウネスを醸成するドリーミー・スロウで、このスウィートさは堪らない。ラップを導入したGo-Go調打ち込みファンク「I Play The Talk Box」、「Doo Wa Ditty」以来となるブルース・ハープ使いの「Stop That」、同郷の先輩、オハイオ・プレイヤーズのファンク・クラシックを完全にザップ・マナーに消化した「Fire」のカバー、ロジャー&ヒューマン・ボディ時代の曲を爽やかメロウにリメイクした「Been This Way Before」、ストリート・コーナーのドゥー・ワップから導かれてスタートする「Back To Bass-Iks」は、レイ・デイヴィスの低音ヴォイスも効いたへヴィーなビートのファンク。途中「Give Up The Funk」「Atomic Dog」といったPファンク・クラシックのフレーズが挟み込まれるのも楽しい。デバージ「I Like It」あたりを連想させるオーソドックスなR&Bスロウ「Ain't The Things To Do」、お約束のブルース・ナンバー「Sad-Day Moaning」、今聴くとスパイシーな音がやや厳しい「Rock Star」、ラストはこれもお約束のフュージョン調「Jake E Stanstill」。