club classics vol one
Club Classics Vol. One / Soul Ⅱ Soul
 Virgin '89 

コレは当時リアルタイムでハマった思い出深き1枚。
「Keep On Movin'」をラジオで初めて聴いた時、かなりの衝撃を受けた。重く引きずるような無機質なビートの上に、流麗なストリングスや鍵盤が流され、ソウルフルな女性ヴォーカルとコーラスが乗ったミディアム・テンポのグルーヴィーな曲。当時一大潮流を巻き起こしていたニュー・ジャック・スウィングには馴染めなかったが、グラウンド・ビートと呼ばれたこの曲には、プログラミングされた音楽なのに生っぽい躍動感を感じすぐに気に入った。
ジャジーBによるプロジェクトであるソウルⅡソウルの1stアルバム『Club Classics Vol. One』は、その「Keep On Movin'」をフィーチャーしたアルバム。基本、クラブ/ハウス・ミュージックをベースにしたプロダクションに、ソウルやファンク、レゲエ、アフリカなどの要素で肉付けしたサウンドはレア・グルーヴ的でもある。ネリー・フーパーや屋敷豪太など後にUKクラブ・ミュージック・シーンで活躍する人材がここに参加し、ヴォーカルのキャロン・ウィーラーはUKソウルのトップ・シンガーとして久保田利伸とも共演。ここで提示されたサウンドは、ニュー・ジャック同様あっと言う間に拡散・模倣され、数多くのフォロワーを生んだが、このソウルⅡソウルの1stアルバム、もっと言えば「Keep On Movin'」を超える作品・楽曲が現れることは、ついになかったと思う。
「Keep On Movin'」同様キャロン・ウィーラーがヴォーカルを取り、シングルも大ヒットした「Back To Life」は、曲の始まりから2分以上に渡ってキャロンのヴォーカルとコーラスのみのアカペラで引っ張るが、まったく飽きさせない。アカペラ・パートが最高に盛り上がったところでビートが切り込んでくる瞬間のカッコよさも堪らない。
ネットリと体温を上げるミディアム・グルーヴの「Fairplay」、ジャジーBのラップが乗るレア・グルーヴィーなライヴ録音の「Feeling Free(Live Rap)」、艶かしいミドルR&B「Feel Free」、これもレア・グルーヴ的な質感の「Jazzie's Groove」といった曲は、今聴いても十分カッコいい。
一方、「Holdin' On」「African Dance」「Dance」「Happiness(Dub)」などハウス色の強い曲は、今となってはやや古臭く感じる部分もあるが、レゲエやアフリカっぽいニュアンスを匂わせるあたりは、いかにも当時のUKブラックといった感じ。
グラウンド・ビート旋風の吹き荒れるなかリリースされた90年の『Vol.2 1990-A New Decade』も好作だが、やはり本作ほどのインパクトを残すことはできなかった。