blackbyrd
Black Byrd / Donald Byrd
 Blue Note '73 

50年代から活躍するジャズ・トランペッター、ドナルド・バードが、ジャクソン5などを手掛けたモータウンの作曲チーム、ザ・コーポレーションの一員だったフォンスと、その兄ラリーのミゼル兄弟=スカイ・ハイ・プロダクションと手を組んだ最初のアルバム『Black Byrd』。
今やジャズ・ファンク・クラシックとして評価の確立した本作、ハーヴィー・メイソン、チャック・レイニー、ウィルトン・フェルダー、デイヴィッド・T・ウォーカー、ジョー・サンプルら、ソウル/ジャズ界隈の名手たちによる豪奢でスリリングでグルーヴィーなジャズ・ファンク・サウンドが最高。
本来は主役であるハズのバードのトランペットを、ここではひとつのパーツとして扱い、完璧に計算されたアレンジメントのもと、バンド全体としてのグルーヴを最大限に引き出したミゼル兄弟の手腕は見事。彼らのプロデュース作は、金太郎飴のようにどこを切ってもスカイ・ハイ印だが、上昇気流に乗って上空一面に拡がっていくような壮大なスペクタクル感は唯一無二と言っていいもの。
頭の固いジャズ・ファンからは酷評されたというのも頷けるファンク/ソウル色濃厚なアルバムだが、本作は当時大ヒットを記録したのだから一般大衆は本作のカッコよさをよく分かっていたということか。
アルバムのオープニングは「Flight Time」。壮麗なストリングスとホーンに乗って、まさにこれから離陸し夜間飛行へ飛び立とうという光景が眼前に広がっていく。ゾクゾクするような昂揚感を伴ったアレンジが素晴らしい一曲。曲中盤からジワジワとファンク度を上げつつ、いかにもスカイ・ハイな男声コーラスが入る次曲「Black Byrd」へ。切れ味鋭いドラムス、ストイックにウネるワウ・ギターが、闇夜の路地裏を徘徊するようなスリリングさを醸すカッコいいジャズ・ファンク・チューン。「Love's So Far Away」は疾走感溢れるジャズ・ファンクで、メイソンのシャープなスネアに痺れる。この曲も浮遊感のある男声コーラス入りの、典型的なスカイ・ハイ・サウンドで非常にカッコいい。
「Mr.Thomas」は本作中最もファンク寄りの曲。象徴的なタイトルの「Sky High」は、もうこれは完全にフュージョン。泥臭くウネるファンク「Slop Jar Blues」、ラストの「Where Are We Going?」はマーヴィン・ゲイも録音していたメロウなソウル・ジャズ。