like water for chocolate
Like Water For Chocolate / Common
 MCA '00 

シカゴ出身のラッパー、コモン(・センス)。
垢抜けないローカル臭が漂うデビュー作『Can I Borrow A Dollar?』で注目を集め、2nd『Ressurection』から急に洗練されたプロダクションを聴かせるようになり、現在まで息の長い活動を続ける人気ラッパーとしての地位を確立。個人的にはアーティストとしてそれほど思い入れのある人ではないし、同郷の後輩、カニエ・ウェストと組んだ2005年の『Be』以来、新作は聴いていないのだが、この4thアルバム『Like Water For Chocolate』だけは別格。多分、好きなヒップホップ・アルバム10指には入るだろう。
2000年にリリースされた、いわゆるソウルクエリアンズ3部作の1枚。エリカ・バドゥ『Mama's Gun』同様、メイン・プロデューサーはJディラ(ジェイ・ディー)だが、『Mama's Gun』以上にディアンジェロ『Voodoo』との親和性大。『Voodoo』で繰り広げられた生演奏によるジャム・セッションを、そのままヒップホップのビートに落とし込んだような印象。『Voodoo』にはディラのクレジットはないのだけれど、この2枚が相互に影響し合いながら制作されたことが分かる。
アルバムのオープニング・トラック「Time Travelin'(A Tribute To Fela)」はディラ、ディアンジェロ、
クエストラヴ、ジェイムス・ポイザー=ソウルクエリアンズによるプロデュースで、フェラの実息、フェミを招いてのアフロ・ビート・ヒップホップ。キーボードはディアンジェロ、トランペットはロイ・ハーグローヴなので、『Voodoo』に通底するムード、時空が捻じれたようなタイム感、スモーキーなグルーヴが凄まじくカッコいい。続く「Heat」は、トニー・アレン「Asiko」をサンプリングした、ディラらしいファンクネス溢れるトラック。更にラーゼルとブラック・ソート客演の「Cold Blooded」はディアンジェロとクエストラヴ主導で制作、Pファンク好きのディアンジェロのチョイスと思われるパーラメント「Funkin' For Fun」ベタ敷きの激ファンク。ドラムとベースはクエストラヴ、ディアンジェロの拉げたクラヴィネットが咬みつく、コレはたまらんカッコよさ。
このファンクな頭3曲が強力過ぎて、以降の曲はやや霞むが、それでも十分に佳曲揃い。アルバム中で一番人気のボビー・コールドウェル「Open Your Eyes」使いの「The Light」、ジル・スコットとビラルがフックを歌う「Funky For You」、モス・デフをフィーチャーした「The Questions」、DJプレミア・プロデュースの「The 6th Sense」は本来は目玉トラックのハズだが、本作中では存在感薄い。MCライトとビラルをフィーチャーしたダルなビートの「A Film Called(Pimp)」、「Nag Champa(Afrodisiac For The World)」「Thelonius」はスラム・ヴィレッジ参加、JB「The Payback」をサンプリングした「Payback Is A Grandmother」、ファミリー・スタンドの名曲カバーとなる「Geto Heaven Part Two」ではソウルクエリアンズが再び結集。クエストラヴのドラムス、ベースはピノ・パラディーノ、ディアンジェロのコーラスが妖しく揺れるD色濃厚な名曲。なお、ヨーロッパ盤ではメイシー・グレイをフィーチャーしたリミックス・ヴァージョンに差し替えられているので、間違って買わないよう要注意。