family
The Family
 Warner Bros. '85 

84年のアルバム『Ice Cream Castle』を最後に解散したザ・タイムの残党=セイント・ポール、ジェリービーン・ジョンソン、ジェローム・ベントンの3人に、当時プリンスと付き合っていたスザンナ・メルヴォワン、サックス奏者のエリック・リーズを加えた5人組グループ、ザ・ファミリー。
タイムは、プリンスのファンク・サイドをアウト・プットする受け皿として機能した、実質的に殿下の傀儡バンドだったが、このファミリーも同じ性質のバンドで、本作では1曲を除きプリンスがすべての作曲・アレンジ・プロデュースを行い、サックス以外のほとんどの演奏を手掛けたと思われる。ヴォーカルはセイント・ポールだが、モーリス・デイのような個性に欠ける。コレ1枚で終わったバンドだが、この後メンバーは皆プリンスの元を離れていったが、唯一プリンスが自分で演奏できない楽器であるサックスのエリック・リーズは、この後もプリンス作品で重用されていくことになる。
実質プリンス制作のファンク・アルバムである本作、この当時のプリンスが好きなら無視できないアルバム。特に頭の2曲「High Fashion」「Mutiny」は、薄口のヴォーカルは物足りないが、プリンス・マナーのファンク・ナンバーでなかなか。「Mutiny」はプリンスもお気に入りの曲だったようで、この頃のステージでこの曲を頻繁に演奏している。
その他、「Yes」「Susannah's Pajamas」といったインスト・ファンクも良い。エリック・リーズもメンバーに名を連ねることになるプリンス流ジャズ・ファンク・プロジェクト、マッドハウスの前哨戦といったところ。
90年にシンニード・オコナーのカバーが世界的な大ヒットとなった「Nothing Compares 2 U」のオリジナルもここに。これは非の打ち所の無い名曲だが、やはり味気ない歌が曲の良さを削いでいる。そのせいか、オコナーがカバーするまでは完全に埋もれ忘れ去られた存在だった。大ヒット以降は、プリンス自身も度々ステージで披露している。
本作収録曲の多くは、プリンスがヴォーカルを入れたデモ・ヴァージョンをブートで聴くことが出来るが、当然ながら殿下が歌っている方が各段に出来がいい。