after hours
After Hours / Rahsaan Patterson
 Dome '04 

ディアンジェロ、マックスウェル、エリック・ベネイらに続く、一連のニュー・クラシック・ソウル(と呼んだ方が個人的にはしっくりきます)の潮流に乗って97年にデビューしたラサーン・パターソン。
同じ97年組には他にエリカ・バドゥや、UKのリンデン・デイヴィッド・ホールがいるが、この本物のソウル・ミュージックを取り戻さんとする動きが、この年あたりになると徐々に拡がりを見せ、多様なアーティストが出現してくるようになる。
ラサーンの1stアルバムは、美麗なメロディーが詰まった秀作R&Bアルバムといった感じだったが、99年の『Love In Stereo』では一気にファンクが開花。スライ・ストーンやスティーヴィー・ワンダーを思わせる濁ったファンク・グルーヴは、4曲をプロデュースした当時無名の新進アーティスト、ヴァン・ハントの仕業。それに釣られてか、1stから続投のジェイミー・ジャズのプロデュース曲も、グッとファンク度を増した。

最初の2枚はMCAからのリリースだったが、セールスが芳しくなかったのか、3rdアルバムとなる本作『After Hours』ではマイナー落ちの憂き目に。米・英・日・豪でそれぞれジャケットが異なり、収録曲も微妙に異なるという困った作品。米英豪のチープのジャケット写真を見ると、マイナー落ちの悲哀を感じさせるが、日本ではそれなりに厚いサポートがあったのか、しっかりしたアートワークになっている(好みでは英盤だけど)。ただし、この日本盤は今や黒歴史のCCCD仕様。当時は仕方なく聴いていたが、英盤を入手した後はさすがに聴く気になれず売ってしまった。ボーナス・トラックはなかなか良い曲だったんだけど。現在この日本盤は通常のCDで出ているのだろうか。ちなみに米・豪盤は未聴。

本作のメイン・プロデューサーも、ジェイミー・ジャズとヴァン・ハントの2人(ラサーンも多くの楽曲で共同プロデュース)。だが、そのウェイトは前作から変わってきており、ハントが今回も4曲手がけているのに対し、ジェイミーは2曲に留まった。ハントは本作の少し前に自身のデビュー・アルバムをリリースしており、アーティストとしての充実ぶりは本作のプロデュース・ワークでも十二分に発揮されている。

そのハントのプロデュースによる「Burnin'」は、スライ「Family Affair」系の鬱メロウな沈んだグルーヴに、オハイオ・プレイヤーズ「Fire」のフレーズを乗せたミドル・チューンで、非常にクセになる。
くすんだムード漂うグルーヴィーなトラックの「Loving You」や、のたうつようなグルーヴのミッド・ファンク「Separate」など、ハント絡みの曲は『Love In Stereo』よりも抑制されたファンクネスを感じさせる。バラードの「The Best」は地味ながら名曲。これらの楽曲ではその演奏のほとんどをハント1人で賄っている。

一方、ジェイミー・プロデュース曲では、80'sテイストのブライト・ダンサー「So Hot」が秀逸。1stアルバム収録のキース・クロウチ・プロデュースの傑作ファンク・ダンサー「So Fine」を彷彿とさせる人気曲。もう1曲の「Don't Run So Fast」は美麗なスロウで、ラサーンの繊細な歌唱が活きる。

その他では、ラサーンとジョン "ジュブ" スミスによるプロデュースの2曲、スカスカで粘っこいスロー・ファンク「I Always Find Myself」、ギターのフレーズが気持ちいいグルーヴィーな「April's Kiss」が特にイイ。
前作の「Get Here」で鮮烈な印象を残した大御所、スティーヴ "シルク" ハーレーは、本作でも「Yeah Yeah Yeah」を提供。「Get Here」ほどのインパクトはないが、ここでもラサーンのヴォーカルとの相性の良さを見せる。
「The One For Me」「You Make Life So Good」は、それぞれ(おそらく)無名のプロデューサーを起用しているが、いずれもグルーヴィーなミッドR&Bの佳曲。
最後に収められた隠しトラック「Straighten It Out」も含めて、駄曲なしの傑作アルバム。