gumbo
Dr. John's Gumbo / Dr. John
 Atco '72 

ドクター・ジョンの名盤『Gumbo』。
本作はドクターの代表作であるだけでなく、彼の地の音楽を世界中の多くの人に紹介する役割を担った、ニューオリンズ音楽の水先案内人とも言える作品。一般の音楽ファンのみならず、本作を入口としてニューオリンズ音楽の深みに分け入ったミュージシャンも数多いと聞く。
収録曲のほとんどがニューオリンズ産クラシック・ナンバーのカバーとなる本作、ニューオリンズのジャズ、R&B、セカンドラインの見本市といった感じだが、そこにしっかりとファンキーなグルーヴが息づいているのが嬉しい。祝祭的な雰囲気やリズミカルに転がるピアノ、ドクターのあのダミ声ヴォーカルも味わい深い。
アルバムの幕開けは「Iko Iko」。陽気に転がるピアノ、足を踏み鳴らすようなセカンドラインのリズムに導かれて、ニューオリンズ音楽の旅がスタートする。ニューオリンズ・ジャズ/R&Bの旨味たっぷりの「Blow Wind Blow」、不思議な音色でコロコロ転がるオルガンが耳にこびり付く「Big Chief」、デキシーランド風のジャズ・ナンバー「Somebody Changed The Lock」、思わず踊り出してしまいそうなリズムの「Mess Around」、重いリズムとドクターのダミ声が迫力を生むロックンロール「Let The Good Times Roll」、ウォーキング・テンポのセカンドラインのリズムが最高な「Junko Partner」、ここでもドクターのニューオリンズ・スタイルのピアノが素晴らしい「Stack-A-Lee」「Tipitina」、ムーディーなバラード「Those Lonely Lonely Nights」、ニューオリンズのピアノ・レジェンドの曲を憧憬たっぷりに歌い綴った「Huey Smith Medley」、アルバムのクロージングは陽気なニューオリンズR&B「Little Liza Jane」。