unplugged
MTV Unplugged / Maxwell
 Columbia '97 

デビュー作『Urban Hang Suite』で大きな反響と高い評価を得たマックスウェル。本作はその『Urban Hang Suite』の曲を中心としたMTVの名物企画『Unplugged』のライヴ盤。
企画の性質上、アコースティックなサウンドであるのだが、ここで聴ける抑制を効かせながらも生々しく脈動するグルーヴは、意外にもスタジオ録音以上にファンキー。また個々の楽曲はオリジナルからアレンジを加えられており、スタジオ録音とはまた違った表情を見せる。
オープニングの「The Suite Urban Theme(The Hush)」から「Mello:Sumthin(The Hush)」へと続く、アーバンでメロウなムード、ファンキーなグルーヴ、官能的なヴォーカルにゾクゾクさせられる。硬質なパーカッションを伴って潜行するアーバン・グルーヴ「The Lady(Suite)」、ケイト・ブッシュ「This Woman's Work」のカバーは、プリンス直系のキラキラしたファルセットが美しいバラードで、コレはマックスウェルにピッタリなレパートリー。
弦とハープの音色がクラシカルなスロウ「Whenever Wherever Whatever」、アコースティックでシックなムードのミディアム「Ascension(Don't Ever Wonder)」、ナイン・インチ・ネイルズのカバー「Gotta Get:Closer」は、原曲を聴いたことがないのだが、おそらく原曲の意匠を大きく改変したファンキーな12分超えの長尺曲で、ここでもプリンスの影響が滲む。この曲は日本盤ボーナス・トラックなのだが、US盤に何故収録されていないのか理解しがたい目玉曲。ラストは「...Til The Cops Come Knockin'」で妖艶に締め。しかしこの曲はやや短い、もっと聴きたかった。