earl of funk
The Earl Of Funk / Earl Van Dyke
 Soul '70 

モータウンが生み出した数多くのヒット曲を陰で支えたファンク・ブラザーズ。”The Sound Of Young America”を体現し、黒人所有の音楽レーベルとして類例のない成功を収めたモータウンにおいて、彼らの貢献は計り知れないほど大きいものだったが、モータウン内部では冷遇されていて、『What's Going On』で初めてメンバーの名前がクレジットされるまでは、社外にはまったく知られることのない無名のミュージシャン達だった。

ま大量生産の工業製品よろしく、ヒッツヴィルのバンドは毎週膨大なレコーディング・セッションをこなさなければならず、ベルトコンベアーで流れてくる曲を短時間で次々に仕上げていくには、ラインの歯車としてオーダーに忠実に淡々とプレイし続けるより他ない。もちろん、そんな規格化された工業製品たる3分間ポップスであっても、そこで聴ける歌、メロディー、そして演奏は今なお瑞々しい魅力を放っているのだが、ミュージシャンとしてはもっと自由にプレイしたかったに違いない。

そんな裏方たちにも時々ガス抜きが必要とベリー・ゴーディーは考えたのか、70年にリリースされたのが本作『The Earl Of Funk』。
リーダーのオルガン奏者、アール・ヴァン・ダイクの名義になっているが、もちろん、ジェイムス・ジェマーソン、ユリエル・ジョーンズ、ロバート・ホワイト、エディー”ボンゴ”ブラウンら、ファンク・ブラザーズの面々が参加(とは言え、本作でもメンバーのクレジットは無し)。曲間に聴衆の歓声を挿入した謎の擬似ライヴ仕立て。

スプリームス「Someday We'll Be Together」やスティーヴィー・ワンダー「My Cherie Amour」といったモータウン・ヒット、トニー・ジョー・ホワイト「Rainy Night In Georgia」やベン・E・キング「Stand By Me」などのスタンダード・ナンバーなどでは、フツーに歌伴的で、良い演奏以上のものではないが、その他の曲ではジャムっぽい躍動感のあるバンドのグルーヴが聴ける。

スライのカバー「”Thank You" Falettinme Be Mice Elf Agin」のジャズ・ファンク的なゴツゴツしたグルーヴはなかなかのカッコよさで、プレイヤーの自己主張もヒシヒシと伝わってくる。途中のドラム・ブレイクもイカツい。
「Na Na Hey Hey Kiss Him Goodbye」もヒット曲のカバーだがグルーヴィーで気持ちいい。「The Flick」は乾いたパーカッションが効いたブルージーなファンクで、ジェマーソンのベースがグルーヴしまくる。「Cissy Strut」のカバーは、ミーターズに負けず劣らずの吸引力たっぷりのグルーヴがウネる。「The Stingray」はヒップなグルーヴがイカす。「The Whip A Rang」はクルセイダーズみたいなアーシーなジャズ・ファンク・ナンバー。