※別ブログの過去記事の再掲載です。


スライの2大名盤と言えば、『There's A Riot Goin' On』と『Fresh』。
と言うより、あらゆるファンクのアルバムの中でも最上位に位置する指折りの2枚。
もちろん、『Stand!』もモノ凄い傑作だし、歴史的な評価は『There's A Riot Goin' On』をも凌ぐほどの超重要作。個人的にも『Stand!』は大好きな作品だけれど、これまで聴いた回数では『There's A Riot Goin' On』『Fresh』は『Stand!』のおそらく10倍以上。

theres a riot goin on
『There's A Riot Goin' On』を初めて聴いたのは高3の時、91年の8月頃。
ジョージ・クリントン『The Cinderella Theory』の日本盤ライナー・ノーツに書かれてあった革新ファンクの系譜、JB-スライ-Pファンク-プリンス。この時初めてスライの名前を知り興味を持つようになった。
また、多分ちょうど同じ頃に、当時の自分にとっては唯一の情報源だった「FMステーション」誌の載っていた、「ダリル・ホールの推薦盤10枚」みたいな企画で、いの一番にダリル・ホールが挙げていたのが『There's A Riot Goin' On』だった(他の9枚は何だったか忘れたけど)。
これがキッカケで手にしたこのアルバム、やはり最初はまったく理解できなかった。とにかく、猛烈に音が悪く聴くに堪えない、という印象。それでもガマンして聴き続けていると、ファンキーな「Luv 'N Haight」やメロウな「Family Affair」、ポップな「Runnin' Away」なんかは結構好きかもと思うようになったが、アルバム1枚を通して聴くのは苦痛だった。


fresh
『Fresh』に手を伸ばしたのは、おそらくそれから1年後ぐらいのことだったと思う。
キッカケは、またも「FMステーション」。『The Cinderella Theory』のライナー・ノーツを書いてた佐藤英輔さんの選盤による、「ブラック・ロック特集」みたいな企画で、プリンス&ザ・レヴォリューション『Parade』、レニー・クラヴィッツやスティーヴィー・サラスの1stなんかとともに、『Fresh』が取り上げられていた。
この『Fresh』には本当にヤラレた。ユニークで独創的なグルーヴのマジックの虜になってしまった。しばらく『Fresh』を聴きまくった後、棚で埃をかぶっていた『There's A Riot Goin' On』を久し振りに聴き直してみて、ようやくこのアルバムの凄さに気付き完全に打ちのめされたのだった。

しかし、この時聴きまくっていた『Fresh』は例の別ミックス盤。それから数年後に『Fresh』のオリジナル・アナログ盤を手に入れて聴いた時の衝撃たるや。まったく予備知識のない状態でレコードを聴いたら、これまで慣れ親しんだCDとはまったく違う音が出てきたのだから、何が起こったのかまったく理解できず、ショックのあまり暫くは『Fresh』を聴く気になれなかったほど。
今でも時々この別ミックス盤を聴き返してみるけど、まぁやっぱりオリジナルの方が1枚も2枚も上だと思いつつ、別ミックス盤に妙に愛着が湧くのも事実。「Frisky」のリトル・シスターのコーラスなんかは、別ミックス盤の方がアーシーな感じがして好きかも。

ところでこの『Fresh』。
今では名盤の誉れ高いこのアルバムも、90年代初め頃まではまともに評価されていなかったように記憶している。
レコード・コレクターズのスライ特集では、某ロック/ポップ系評論家が「『暴動』以降はスライの余生」なんて言っているし、あのU.S.ブラック・ディスク・ガイドでも、『Fresh』に関してはほとんどスルー。73年当時の日米での『Fresh』の評価がどのようなものだったのか知らないのだが、ロック・ジャーナリズムが支配的な日本では90年代初頭までは駄作として片付けられていたのだから、今となっては信じられないような話だ。