blasters of the universe
Blasters' Of The Universe / Bootsy's New Rubber Band
 P-Vine '93 

1980年の『Ultra Wave』以降は、途中12インチ・シングルの「Body Slam」という例外を除いて、80年代を通してソロ・アーティスト/プロデューサーとして活動してきたブーツィー・コリンズ。91年のミニ・アルバム『Jungle Bass』で久々にラバー・バンド名義を復活させたかと思ったら、続く本作『Blasters' of The Universe』では、ニュー・ラバー・バンド名義へと変更。
とは言え、基本的には旧来のラバー・バンドのメンバーの他、Pファンク本隊のミュージシャンが多数バックアップしているのはこれまでと変わりない。しかし、『Jungle Bass』がハウス・ミュージックやクラブ・サウンドに大幅に接近していたのに対し、本作もそういう要素はあるものの、よりバンドっぽい生のグルーヴの感触が強いのが、ニュー・ラバー・バンドたる所以か。当時はあまり印象に残らなかった本作、かなり久し振りに聴き返してみたのだが、こんなに良い内容だったっけと今になって思い知らされた。

冒頭のアルバム・タイトル曲「Blasters' Of The Universe」はクラブ・ミュージック的なダンサブルなサウンドだが、ブーツィーの太くウネるベースによってグッと生々しい肉感的なグルーヴが生み出されている。ホーニー・ホーンズがメイシオ「Soul Power ’74」のフレーズを交え、JB'sっぽいジャズ・ファンク・サウンドを聴かせてくれる。
「J.R.(Just Right)」はナスティーな女性コーラスが浮遊するエレクトロ・ミッド・ファンクで、バーニーのシンセを聴いているだけでも楽しくなってくる。バディー・マイルスがドラムを叩く「Funk Express Card」もクラブ・サウンドっぽいつくりのクールなグルーヴがカッコいい曲で、ブーツィーが「Shine-O-Myte」やブライズ「Disco To Go」のフレーズを歌ってくれる。

「Bad Girls」はヒップホップ色濃いビートとサンプリングで構築されたファンク・チューン。「Back 'N' The Day」はホーン・セクションを前面に立てた完全にJB's仕様のミッド・ファンクで、JB's「Doing It To Death」の時代に連れ帰ってくれる。「Where 'R' The Children」はパーラメント「The Big Bang Theory」のジェシカ・クリーヴスみたいなオペラ・ヴォイスも聴かれるダンス・トラック。
「Femele Trouble's(The National Anthem)」はトボけたシンセ・フレーズや軽快なカッティングが「What's W-R-O-N-G Radio」を思わせる。「Wide Track」はホーニー・ホーンズが主役で、分厚さとシャープさを併せ持った素晴らしくスリリングなホーン・アレンジを堪能できる。クリントンがザラザラに荒れた声で参加する「Funk Me Dirty」はPファンク Meets ハウスなダンス・チューン。

そしてここからは、本作リリースの前年に他界したエディー・ヘイゼル追悼曲が2曲続く。「Blasters' Of The Univers 2(The Sequel)」は、タイトル曲のリズム・トラックを下敷きに、80年に録音されたというエディーのギター・ソロがたっぷりと乗せられた曲。ラフなジャムっぽい演奏だが、ここでのエディーのファンキーなギター・プレイは最高だ。「Good Night Eddie」は軽快なリズムの曲だが、そこはかとなく悲しみが滲み出でくるかのよう。

オルガンとハンド・クラップがまるでゴスペルな「A Sacred Place」や、物悲しげなムードが漂う幽玄ミディアム・スローのラスト2曲「Half Past Midnight」「It's A Silly Serious World」なんかも、直接的なエディー追悼曲ではないが、盟友の死を悼むブーツィーの心情が表れているようにも聴こえる。

斯様に聴きどころの多い良作だが、問題は本作が2枚組CDであるという点。ディスク2の方は、ディスク1のうち11曲のインスト・ヴァージョンが収められているが、これがホントにただヴォーカルを抜いただけのインストなので、余程のファンでなければ高価格の2CDの価値は見出せないだろう(自分は余程のPファンク・ファンを自認しているつもりだが、ディスク2の方は買った当時に1度聴いたきりだ。ちゃんと聴きこんだら何か新しい発見があるのかもしれないけど)。