say it loud
Say It Loud I'm Black And I'm Proud / James Brown
 King '69 

60年代末のJBは、ミュージシャンとしてだけではなく、ビジネスマン、更には黒人社会に大きな影響力を持つリーダーとして突出した存在だった。そのJBの政治力に目をつけたブラック・パンサー党が、JBを脅して書かせたという曲「Say It Loud I'm Black And I'm Proud」をタイトルに冠するアルバムが本作。
このいわくつきのタイトル曲で、JBの後ろで叫んでいるバック・ヴォーカルが、実はほとんど白人ばかりだったというエピソードに何だか萎えるものがあるが、69年のJBだけに演奏は超強力。黒々としたミドル・テンポのファンク・ビートに乗って、JBが猛々しくアジテートする様は、本当に暴動でも起こりそうな不穏なムードを湛えている。
ファンクではもう1曲、「Licking Stick」が重要曲。ユルいノリのカッコいいファンキー・ソウルだが、一説にはこの曲でベースを弾いているのはブーツィーとのこと。おそらくブーツィーがJBのレコーディングに参加した初めての曲だ。
その他は、ビッグ・バンドを従えた泣きのバラード「I Guess I'll Have To Cry,Cry,Cry」「Let Them Talk」、ブルージーな「Goodbye My Love」「Maybe I'll Understand」、軽めのジャンプ・ナンバー「I Love You」、「Shades Of Brown」「I'll Lose My Mind」はJBのオルガンが聴けるソウル・ジャズ・インスト。本作も例によって既発曲の寄せ集めだが、ファンクにスロウにインストにと十分楽しめる。