live at carnegie hall
Live At Carnegie Hall / Bill Withers
 Sussex '73 

遅咲きのデビューながらも、「Aint No Sunshine」「Lean On Me」「Use Me」などのヒットを生み、2枚のアルバム『Just As I Am』『Still Bill』も高い評価を得、グラミーも受賞するなどキャリア初期に大成功を収めたビル・ウィザーズ。
本作は、その絶頂期に名門・カーネギー・ホールで録音されたライヴ盤。ビルを支えるバンドの面子は、『Still Bill』同様にワッツ103rdストリート・リズム・バンドからの4人=ジェイムス・ギャドソン、レイ・ジャクソン、メルヴィン・ダンラップ、バーノース・ブラックマンと、何故か1人だけジャケットには写っていないパーカッション奏者のボビー・ホール。曲によってはストリングスやホーン・セクションが付いているが、これは後からオーバーダブしたものだろうか。
ビルとバンドの息の合った演奏が素晴らしく、派手さは無いものの渋くシブといグルーヴが脈々とウネっている。特にギャドソンを中心としたリズム・セクションのツボを突きまくるグルーヴの妙、ビルのアコースティック・ギターに絡みつくブラックマンのワウ・ギターのファンキーなプレイ、黒いアフロ成分をひっそりと注入してくるホールのパーカスもイイ。その人柄同様に朴訥な印象のビルの歌は聴き手の胸の奥の襞に直接沁み入ってくる。一方でやたらと饒舌なMCで聴衆に大ウケしている姿とのギャップも面白い。
同じギタリストということもあってか、本作と『Curits/Live!』を重ね合わせる人も多いだろう。小編成のバンドでジワジワとグルーヴする感じや、主役の真摯な歌心がビンビン響いてくるネイキッドな感触は、両作に共通するものだ。ただ、広いホールでの演奏である本作は、狭いハコでの『Curtis/Live』のインティメイトな雰囲気は薄いし、控え目な使い方ではあるがストリングスの付いた曲は、どこか室内楽的な上品さを感じたりも。とは言え、本作がニュー・ソウル時代のライヴ名盤のひとつであることは異論の余地もない。
黒いグルーヴにたっぷりと満たされた「Use Me」からスタート。ウネウネとファンキーなリズムを刻むリズム隊は、スタジオ録音にも増してグルーヴィー。控えめなストリングスとホーン・セクションが付いた地味渋グルーヴ「Friend Of Mine」、『Just As I Am』からのヒット曲「Ain't No Sunshine」「Grandma's Hands」、「World Keeps Going Around」は静謐なグルーヴがジワジワとにじり寄ってくる。まったりソフトなバラード「Let Me In Your Life」、ドラムスとベース、アコギとワウ・ギターが鳥肌モノのグルーヴを繰り出す「Better Off Dead」、アフロなパーカッションとキーボードが絡むスロー・ファンク「For My Friend」、ベトナム戦争をテーマにしたシビアな「I Can't Write Left-Handed」、大ヒット曲「Lean On Me」はゴスペル的な昂揚感と癒しを与えてくれる。クールなストリート・ファンク「Lonely Town,Lonely Street」、切なさ込み上げるバラード「Hope She'll Be Happier」、グルーヴィーでファンキーなミディアム「Let Us Love」、ラストの「Harlem/Cold Baloney」は熱くファンキーに盛り上がる。