blacktronic science
Blacktronic Science / Bernie Worrell
 Gramavision '93 

マッド・サイエンティストなジャケットが期待させるバーニーのソロ3rdアルバム『Blacktronic Science』は、ビル・ラズウェルとの共同プロデュース。
ソロ1st『All The Woo In The World』、2nd『Funk Of Ages』ほどの大傑作とは言い難いが、2ndよりも更に踏み込んでヒップホップを取り込まんとした意欲作。ヒップホップと言っても、ラズウェル色の濃いサイバーなサウンドは好みの分かれるところで、実際当時は従来のファンからの評判はイマイチだったと記憶している。
ここで聴かれるサウンドは、同時期のクリントン『Hey Man... Smell My Finger』や、ブーツィー『Blasters Of The Universe』の肉体的なグルーヴに比べると、いささか機械的でヘッド・ミュージック的な冷たさを感じてしまう部分もあるが、それでもまだバーニーがファンクの行く末を見つめていた時代に作った本作は、今となっては貴重であり十分に聴く価値があると言える。
また、正規の音楽教育を受け、ジャズやクラシックにも造詣の深いバーニーが、自分の多面的な音楽性を表現したい欲求に駆られるのは当然であり、本作でもバーニーらしい多彩な表現を見せてくれている。
アルバムはクラシカルな「Revelation In Black Light」で幕開け。ラップを全面的に導入した「Flex」や、「Aqua Boogie」をサンプリングした「Time Was(Events In The Elsewhere)」は、クリントンとブーツィー、マッドボーンが客演した、Pファンクをヒップホップ的に解体・再構築したファンク・ナンバー。クリントンがリード・ヴォーカルを取る「Dissinfordollars」は、より従来型のPファンク・グルーヴに貫かれている。
その他、アフロでアンビエントなムードの「The Vision」、無機質なビートにストリングスを組み合わせた「Won't Go Away」、「Blood Secrets」と「X-Factor」は、ブーツィー、トニー・ウィリアムスとのトリオ演奏によるジャズ・ナンバー。