stankonia
Stankonia / Outkast
 LaFace '00 

アウトキャストの通算4作目『Stankonia』。
ダーティー・サウスから飛び出してきた野心的なヒップホップ・デュオの彼らは、キャリアを重ねるに連れてヒップホップの枠からも大きく逸脱するようになる。前作『Aquemini』もファンク/ソウル色濃厚な作品だったが、本作に至って形式的なヒップホップ・サウンドはほぼ陰を潜めている。プロデュースを担うはアンドレ3000とビッグ・ボイを中心とするチーム、アーストーンⅢと、オーガナイズド・ノイズ。多くの楽曲は生楽器で演奏されており、Pファンクやスライあたりを主な影響源とするサウンドで、多くの楽曲は生楽器で演奏されている。もはやファンク・アルバムと言ってしまいたい傑作だ。

へヴィーなギターがのたうつファンカデリカルな「Gasoline Dreams」、コズミックに漂うクールなファンク「So Fresh,So Clean」、キャメオのアーロン・ミルズが弾くベースが鞭のようにしなるグルーヴを繰り出すミッド・ファンク「Ms. Jackson」、バタバタしたビートに奇妙な音色のシンセが乗る「Snappin' & Trappin'」、太いビートとホーン・サンプルが印象的な「Spaghetti Junction」、リズム・ボックスみたいなチープなシンセ・サウンドがPファンク的な「I'll Call Before I Come」、高速爆裂ビートに高速フロウが並走する「B.O.B.」は強烈なインパクト。

サイプレス・ヒルのBリアルの粘着ラップをフィーチャーした「Xplosion」は、ブギーに泡立つシンセが強力なファンク・チューン。アラン・トゥーサン「Worldwide」使いのサザン・フライド・ファンク「We Luv Deez Hoez」、エリカ・バドゥがフックを歌う「Humble Mumble」、虚ろに漂うシンセとギターに念仏のようなラップが絡みつく「Gangsta Shit」、コズミックなシンセ・サウンドが『Tales Of Kidd Funkadelic』あたりを思わせる「Toilet Tisha」、グッディー・モブのシーローをフィーチャーした「Slum Beautiful」は、テープを逆回転させたようなサウンドが不思議なグルーヴを生む。ラストの「Stankonia(Stanklove)」はダブっぽい歪んだゴッタ煮スロー・グルーヴ。