for sweet people
For Sweet People From Sweet Charles
 
People '74 

60年代末頃からJBのバンドにベーシストとして参加したスウィート・チャールズことチャールズ・シュレル。「Mother Popcorn」「Say It Loud I'm Black And I'm Proud」「It's A New Day」などのJBファンク完成期の傑作ナンバーや、ライヴ盤『Say It Live And Loud』『Sex Machine』(の後半)でベースを弾いていたのがこの人。その後メイシオの乱に同調しJBからクビを言い渡されるも、ほとぼりが冷めるとシレッとファミリーに復帰し、遂にはJB御大のプロデュースでソロ・アルバムをリリース。それが本作『For Sweet People From Sweet Charles』。
ソロ作をリリースできたJB'sのメンバーは、他にメイシオぐらいしかいないわけで、このスウィート・チャールズはかなりJBに優遇されていたということなのだろう。本作の演奏はもちろんJB'sで、フレッド・ウェズリーとデイヴ・マシューズという当時のJBの両腕がアレンジを手がけるなど、JBファミリーが完全バックアップした本作は、しかしゴリゴリのファンクを期待すると肩透かしを喰う。ここで聴けるのは、ファンキーではあるが、それ以上にメロウでスウィートなグルーヴィー・ソウル・ミュージック。スウィート・チャールズという名前が表すとおり、ファルセット~テナーの甘いヴォーカルを生かしたプロダクション。曲間に挿入されるセクシーな女声もアルバムのムードを高めている。
官能的な女声ヴォーカルに導かれてスタートする「Strangers In The Night」は、哀愁漂うストリングス・アレンジ、チャールズのファルセット混じりのヴォーカルが非常にムーディーなメロウ・ソウル。サム&デイヴ「Soul Man」のカバーは、原曲のイメージからはかなり距離のあるグルーヴィー・ソウル。スウィートなスロウ「Dedicated To The One I Love」、昂揚感のあるアップ「I'll Never Let You Break My Heart Again」、温かみのある緩やかなミディアム・メロウ「Why Can't I Be Treated Like A Man」、アラン・トゥーサン作の「I Like It Like That」はファンキーなワウ・ギターが蠢くグルーヴィーなファンク。広がりのあるアレンジが気持ちいいバラード「Give The Woman A Chance」、爽快グルーヴィーな「Yes It's You」は、本作の白眉と言えるレア・グルーヴ・クラシック。ラストのソフトにグルーヴする「Outa Sight-Outa Mind」まで、アルバム1枚通して楽しめるメロウ・ソウル傑作。