ecstasy
Ecstasy / Ohio Players
 Westbound '73 

オハイオ・プレイヤーズがマーキュリーに移籍してビッグ・ヒットを連発する前、ウェストバウンドからリリースした作品群は、SMチックなドエロなジャケット、ウォルター・ジュニー・モリソン主導による、ギトギトにネチッこく、奇妙に捻じれたアクの強いファンク・サウンドが特徴。個人的には、やはりマーキュリーの最初の3枚が好きだが、こんな一般ウケしそうもないエグいアルバムが、当時それなりにヒットしていたというのも何だかスゴい。それにしても、オハイオ・プレイヤーズやファンカデリックのようなバンドが在籍していたウェストバウンドって、かなりチャレンジングなレーベルだなぁと思う。
1曲目のタイトル曲「Ecstasy」から捻じれまくったストレンジ・ファンク。ポップでメロウな「You And I」も、どこかヒネリが効いている。ファルセットで歌うジュニーのヴォーカルもキュートかつ変態的。アル・グリーン「Love And Happiness」のファンク解釈といった感じの「Not So Sad And Lonely」、モゾモゾと這いずり回るようなスロー・ファンク「(I Wanna Know)Do You Feel It?」、「Black Cat」は後のオハイオ・ファンクのスタイルの萌芽が見えるファンク・チューン。
迫力のあるインスト・ファンク「Food Stamps Y'all」、まだそれほどネチッこくないシュガーフットがヴォーカルを取る「Spinning」、ダーティーなグルーヴが耳にこびり付くファンク「Sleep Talk」、奇妙さと可愛らしさが同居した「Silly Billy」、重心の低いファンク「Short Change」など、良くも悪くもアクの強いサウンドが耳にこびり付いて離れない。
現行CDには、ウェストバウンドがバンドに去られた後に、未発表曲を掻き集めて出した75年のアルバム『Rattlesnake』からの曲を中心に5曲のボーナス・トラックを追加。本編と比べても何ら遜色ないギトギトっぷり。