whats going on
What's Going On / The Dirty Dozen Brass Band
 Shout! Factory '06 

ダーティー・ダズン・ブラス・バンドの、マーヴィン・ゲイ『What's Going On』を曲順もそのままに全曲カバーした異色作。
前年にハリケーン・カトリーナで甚大な被害を被った故郷ニューオリンズで、悲嘆に暮れる人々や、それでも力強く生きていく人々へ向けられた作品。そのメッセージは重いが、音楽はとにかくカッコいい。どの曲もマーヴィンのオリジナルとはかなり異なるアプローチが取られ、半数の曲ではラッパーやシンガーを起用。ヒップホップの要素も無理なく取り入れたジャム・バンド的なファンク・サウンドは、ニューオリンズのストリートの息遣いを感じさせる。
冒頭の「What's Going On」は、スーザフォンが重く響くスロー・ファンクにチャックDのラップが乗る。ベティ・ラヴェットのヴォーカルをフィーチャーした、タイトなグルーヴの「What's Happening Brother」、重厚なブラス・アンサンブルを聴かせる「Flyin' High(In The Friendly Sky)」は、終盤のセカンドライン展開にもヤラれる。ジャジーなホーンと土着的なパーカッションが絡む「Save The Children」、アイヴァン・ネヴィルがヴォーカルを取る、オルガンがアーシーに響くグルーヴィー・ナンバー「God Is Love」、Gラヴを起用した「Mercy Mercy Me(The Ecology)」もグルーヴ感たっぷりに聴かせる。
原曲のラテン・テイストは微塵もない、ブッといホーン・セクションで塗り込めるような「Right On」、これも原曲のゴスペルっぽさから掛け離れた、ムーディーなビッグ・バンド・ジャズの「Wholy Holy」、ラストの「Inner City Blues(Make Me Wanna Holler)」はグールーがラップするクールなジャズ・ファンク。