ice cream castle
Ice Cream Castle / The Time
 Warner Bros. '84 

ジャム&ルイスとモンテ・モア脱退後、ポール・ピーターソン、ジェローム・ベントンらを新たにメンバーに加えた新生タイムの3rdアルバム『Ice Cream Castle』。
前2作はプリンスが作曲・演奏・プロデュースを行ったと言われ、実質的にプリンスの傀儡バンドだったタイムだが、本作ではモーリス・デイやジェシー・ジョンソンも作曲・プロデュースに関与し、演奏もバンド・メンバーの手によるなど、タイムがバンドとして自主独立を図った作品。
内容の方は、プリンスの関与は相対的に減ったとは言え、殿下臭濃厚なミネアポリス・ファンクは健在。思わず口ずさんでしまうフックに「Kome Kome War」を思い出さずにはいられないジェジー作の「Jungle Love」や、大盛り上がりのライヴ録音「The Bird」などのノリのいいダンサブルなファンク・チューンは、当時のバンドの勢いを物語っている。
「Ice Cream Castles」はややポップな曲調だが、終盤には例の掛け合いでジワジワ盛り上がる。「My Drawers」はジェシーがハードなギターをカマすロック・ナンバー。2曲あるスロウがイマイチなこともあり、アルバムの出来は前作よりは落ちると思う。
タイムは映画『Purple Rain』にも出演し、本作収録曲を映画でも演奏するなど、これまでにない大きな注目を集めたアルバムとなり、結果、タイムにとって最大のヒット作となったものの、本作リリース時には既にバンドは解散。モーリスとジェシーはプリンスの下を離れソロへ転向、セント・ポール、ジェリービーン・ジョンソン、ジェローム・ベントンは、またしてもプリンスの傀儡バンド、ザ・ファミリーのメンバーとなる。