soul cal
Soul Cal Funky Disco & Modern Soul Masterpieces 1971-1982
 Now-Again ’12 

ストーンズ・スロウ傘下のナウ・アゲイン編纂のファンク/ディスコ/モダン・ソウルのレア音源を集めたコンピレーション『Soul Cal』。
ストーンズ・スロウ/ナウ・アゲインというと、埃まみれでドス黒いゴリゴリのディープ・ファンクを発掘するレーベルというイメージなのだが、本作がリリースされた時、そういったレーベル・カラーとはだいぶ異なる印象を受けた。ちょうど、モダン・ソウルやディスコ/ブギー・ファンクが注目を集めるようになった頃で、このレーベルもそういったトレンドの動きをしっかりキャッチして新しい方向性を出してきたな、と当時感じていたが、流石はイーゴン、全曲捨て曲無し、レアリティー/クオリティーともにこの手のコンピとしては最高峰と言えるような内容。

アルバム・オープナーのルーサー・デイヴィス「You Can Be A Star」は、軽快なギター・カッティングが走る爽快グルーヴィーなモダン・ファンク・ダンサーで、もう1曲目から思わず小躍りしてしまうような素晴らしさ。
ネブラスカ州オマハのサイケデリック・ロック/ファンク・バンド、LAカーニヴァルのメンバーを含むUPCオール・スターズ「Don't Get Discouraged」は、本盤収録曲中で最も古い録音(つまり71年)ながら、何ともフレッシュなモダン・ソウル。
全米有数のファンク・シティー、オハイオ州シンシナティで結成されたバンド、ピュア・エッセンスの「Wake Up」はイカツいドラム・ブレイクから流麗なギター・カッティング、太く歪んだベースがウネリまくるグルーヴを繰り出すファンク・チューン。この曲でドラムを叩いているのは、後にベビーフェイスとともにマンチャイルド~ディール~プロデューサーとして大成し、今では業界の大物となったLAリードとのこと。

アヌビス「Ecology」はジャジー&メロウなグルーヴィー・ソウル・ナンバー。インディアナポリスのファンク・バンド、リズム・マシーンの「Put A Smile On Me」は、リズミカルなギター・カッティングに誘われる涼やかなメロウ・ミディアムで、レア盤として有名な彼ら唯一のアルバム『Rhythm Machine』にも収録されていた曲。
エリス&シーファス「I'm Gonna Miss You Girl」は足早に駆け抜けるダンス・チューン。女2男1という編成のグループ、ミックスド・シュガーの「It's A Bad Feeling」は粗削りさも魅力のノーザン・ソウル。このグループの黒一点でありプロデューサーのリージョナル・ガーランドが70年代から80年代にかけて残した仕事は、ストーンズ・スロウからリリースされた編集盤『Mixed Sugar The Complete Works, 1970-1987』に網羅されている。

ミックスド・フィーリングス「Sha La La」は軽快なダンス・ナンバー。キー&クリアリー「What It Take To Live」はナイスなソウル・ダンサー。カシミア・ステージ・バンドのドラマー、クレイグ・グリーンとベーシスト、ジェラルド・カルフーンを擁したレオン・ミッチソンの「Love Is」は、グルーヴィーに疾走するファンク/ソウル・ナンバー。
白人マルチ・ミュージシャンのクリフォード・ナイレン「Keep Running Away」はアーバンなグルーヴが心地いい。スタントン・デイヴィス・ゲットー・ミスティシズム「Things Cannot Stop Forever」は、彼らの唯一のアルバム『Brighter Days』のオープニングを飾るアッパーなディスコ/ブギー・ファンク。

C.ヘンリー・ウッズ・トゥループ「The Stranger」はグルーヴィーなベースが効いたディスコ・ファンク・チューン。ファンク・キャピタルとして名を馳せるオハイオ州デイトンのバンド、レコード・プレイヤーの「Free Your Mind」は鉄壁のバンド・アンサンブルに、ホーン・セクションもコーラス・ワークも華やかに盛り上げるブギー・ファンク。
テキサス州オースチンの大所帯ファンク・バンド、フリーダム・エクスプレスの「Get Down」がグルーヴィーなリズム・セクションと分厚いホーン隊に、ムーグ・シンセがウニョウニョと蠢く傑作ファンク。バンドの中心人物のサックス奏者、ロン・ブラウンはこの後にスティーム・ヒート『Austin Funk』の録音に参加。ちなみに、70年にアルバム『Easy Ridin'』をリリースした白人主体のファンク・ロック・バンドのフリーダム・エクスプレスとは同名異バンド。

日本盤には更にボーナス・トラックとして3曲を追加収録。
ルーサー・デイヴィス・グループ「To Be Free」はクールなグルーヴィー・ダンサー、レコード・プレイヤー「Your Fantasy」は華やかなディスコ・ファンク、ピュア・エッセンス「Third Rock」はタイトなグルーヴがウネるミッド・ファンクで、いずれも本編と遜色ない出来。