get down with james brown
Get Down With James Brown : Live At The Apollo Vol.Ⅳ / James Brown
 Universal '16 

アポロ第4弾としてリリースが予定されるも、結局お蔵入りとなってしまっていた72年9月のライヴ音源がようやくCDリリース!。
JB名義ではあるけれど、実態は当時のJBレヴューの前座のステージを収録したもの。JB's『Food For Thought』からの選曲が大半で、残り半分はリン・コリンズとボビー・バードのソロ。JBの曲は2曲だけ(ちゃんと歌ってるのは1曲のみ)だが、JB'sのライヴ演奏をたっぷり堪能できるのは非常に嬉しいかぎりだし、何より猛烈にカッコいいファンクの連打に興奮必至。
この時のJB'sは、ジャボ・スタークス、フレッド・トーマスの黒く図太いリズム隊に、ジミー・ノーラン、ハーロン・マーティンの鬼のファンク・ギター、ジョニー・グリッグスのコンガの他、フレッド・ウェズリーとセントクレア・ピンクニーを中心としたホーン・セクション(メイシオはまだ復帰前)という面子で、こちらもようやく完全盤がCD化された『Love Power Peace』にも勝るとも劣らないヘヴィー・ファンクを聴かせてくれる。
ライヴの始まりを告げるJB'sによるイントロダクションから、もう堪らないカッコよさで、ちょっとドリフっぽい感じもまたイイ。『Doing It To Death』冒頭に使われたダニー・レイによる呼び込みの後、「Hot Pants Road」へと雪崩れ込むヤバ過ぎる展開。オリジナルよりスピーディーでキレッキレな「Hot Pants Road」に続いて、ゆったりとしたグルーヴの「From The Back Side」、これもオリジナルよりややテンポの早いジャズ・ファンク「Wine Spot」と、緩急をつけながらショウは進行。
フレッド・ウェズリーのMCに導かれて、いよいよ御大登場。しかし曲はジャクソン5の「Never Can Say Goodbye」で、JBは語りとオルガンで存在感を見せつける。『There It Is』に収録されたこの曲のスタジオ録音版は大したことないが、このライヴ・ヴァージョンはクールなジャズ・ファンクでなかなか。
曲終わりのJBとフレッド・ウェズリーのゲットー風情な喋くりの後、「Pass The Peas」へ。黒々としたグルーヴィーな演奏は余裕のカッコよさ。ジャジーなシャッフルの「Honky Tonk」、「Gimme Some More」はオリジナルよりも早いテンポでめちゃめちゃグルーヴィー。そしてJBの掛け声の後、鬼のハードコア・ファンク「There It Is」が大爆発。『Motherlode』にも収録されたテイクだが、無事オリジナルな形に収まった。
再びダニー・レイ登場でリン・コリンズを紹介、アイザック・ヘイズ「Do Your Thing」を貫禄たっぷりにキメた後、フィーメル・プリーチャーの異名はダテじゃないと言わんばかりに聴衆を煽りに煽り「Think(About It)」に突入。それにしても、この「Think(About It)」のライヴ・ヴァージョンを聴くことができるとは。激ファンキーな演奏とヴォーカルが素晴らしい。ステイプル・シンガーズの大ヒット曲「I'll Take You There」はやや短めに切り上げ、ボビー・バードへとスイッチ。いきなり「I Know You Got Soul」をブチかまされてKO必至。ルーサー・イングラムの不倫ソウル名曲「(If Loving You Is Wrong)I Don't Want To Be Right」を情感たっぷりに歌いあげ客席を盛り上げた後、オーラスは「Keep On Doin' What You're Doin'」でグイグイとグルーヴィーに突っ走る。
音質も良好で大満足の本作、ファンク好き必聴の名盤。