awaken my love
Awaken, My Love! / Childish Gambino
 Glassnote '16 

一部で話題のチャイルディッシュ・ガンビーノ。
その正体は俳優/コメディアンとしても幅広く活動するドナルド・グローヴァーなる人。既に数枚のヒップホップ・アルバムをリリースしているらしく、前作『Because The Internet』はグラミーにもノミネートされたとのこと。個人的には本作『Awaken, My Love!』で初めてこの人の作品を聴いたが、コレは噂に違わぬ怪作。
ジャケットからして『Maggot Brain』を連想せずにはいられないが、一聴して、Pファンクにどっぷり浸かったサウンドにズブズブと飲み込まれる。ドラムを打ち込んでいる曲もあるが、基本はバンドによる人力グルーヴ。スペイシーなシンセや、ザラついたギター、独特の間合いのドラムス、そしてクリントンっぽかったりマッドボーンっぽかったりするヴォーカルなど、どこをどう切ってもPファンク的。深い哀愁が滲むあたりもPファンク・マナーに忠実。
冒頭の「Me And Your Mama」から、初期ファンカデリックなカオスなグルーヴに飲み込まれる。「Have Some Love」はファンカデリック「Can You Get To That」が宇宙遊泳しているような曲、続く「Boogieman」はパーラメント「Do That Stuff」のジェローム・ブレイリーのドラム・パターンを、プログラミングで再現してしまった超絶ファンク・ナンバー。この頭3曲の流れはなかなか凄い。
哀愁レイジー・スロー「Zombies」は、クリントン風の歌唱と、バーニーというよりはジュニーっぽい捻じれたシンセがより深い哀愁を滲ませる。「Good To Your Earhole」をサンプリングした「Riot」は、もう「Good To Your Earhole」そのまんまで、さすがにコレはもう少しヒネリが欲しかったところ。「Redbone」はブーツィーズ・ラバー・バンド「I'd Rather Be With You」系のスロウで、キュートで悪戯っぽいファルセットもマッドボーンっぽい。
ワッツ103rdストリート・リズム・バンド「Express Yourself」にカリビアン・ムードを混ぜたような「California」、スペイシーに揺蕩う「Terrified」、ささくれたクラヴィネットがギザギザと突き刺さるメランコリック・スロウ「Baby Boy」、ザックリしたギターが浮遊する幽玄スロウ「The Night Me And Your Mama Met」、ラストの「Stand Tall」もスペイシーなシンセを敷いたスロウ。
グローヴァーが何故唐突にこんな奇怪なアルバムを作ったのかよく分からないが、溢れんばかりのPファンク愛に満たされた本作は、ファンカティアなら相当楽しめることは間違いない。