doggystyle
Doggystyle / Snoop Doggy Dogg
 Death Row '93 

『The Chronic』で一大センセーションを巻き起こしたDr.ドレーのGファンク。90年代前半はドレーのサウンドをコピーしたヒップホップやR&Bが粗製乱造されたが、本家本元、オリジナル・Gファンクの凄味を見せつけた決定打となったのがスヌープ・ドッグの1stアルバムとなる大ヒット・アルバム『Doggystyle』。
その音楽性の多くをPファンクに依拠しているGファンクだが、本作もPファンク・ネタてんこ盛り。『The Chronic』と比べると、殺伐としたギャングスタなムードは減退し、ファンク/ソウル成分が増した印象で、音楽的な成熟をも感じさせる。しかしドレーのプロダクション以上に本作を傑作たらしめているのは、主役のスヌープ。そのクールで飄々としたラップは流石の貫禄で、ダズやドッグ・パウンド、レイディ・オブ・レイジ、ネイト・ドッグなどドレー傘下のラッパーが大挙して客演しているが、やはりスヌープの存在感、技量は図抜けている。
アルバムは、カーティス・メイフィールド「Give Me Your Love」をサンプリングした寸劇仕立ての「Bathtub」からスタートし、ファンカデリック「(Not Just)Knee Deep」のベースが強力にウネる「G Funk Intro」へと雪崩れ込む。ジョージ・マックレー「I Get Lifted」をサンプリングし、スレイヴ「Watching You」のフレーズをフックに用いたGファンク・クラシック「Gin And Juice」、パーラメント「Flash Light」の替え歌を冒頭に持ってきたクールなGファンク・チューン「Tha Shiznit」、「Lodi Dodi」はスヌープのラップ・スタイルに影響を与えたスリック・リックのクラシック・ソングのカバー。
「Murder Was The Case」「Serial Killa」は、ヒリヒリと焼けつくような殺伐としたムードのギャングスタ・ラップ・ナンバー。またも「Knee Deep」のベース・ラインを使い、ジョージ・クリントン「Atomic Dog」のキラー・フックとパーラメント「Give Up The Funk(Tear The Roof Off The Sucker)」のコーラスを甦らせた「Who Am I(What's My Name)?」、Gなシンセが這いずる「For All My Niggaz & Bitches」、グルーヴィーな爽快クルーズ・ナンバー「Ain't No Fun(If The Homies Can't Have None)」、クール&ザ・ギャング「Summer Madness」使いの「Doggy Dogg World」は、ドラマティックスのヴォーカルをフィーチャーしたスムーズ・チューン。バウンシーな「Gz And Hustlas」、ラストの典型的Gファンク・ナンバー「Pump Pump」まで、クラシック・チューン満載の大名盤。