back to reality
Back To Reality... / Jeune
 Shiro '95 

素性不明のアーティスト、ジョーン(ジューン?)の唯一のアルバム『Back To Reality...』。
L.A.が拠点と思われるが、全編生音による人力グルーヴは、Gファンク的な装飾とオーガナイズド・ノイズに通底するドス黒くドロリとしたファンクネスを感じさせ、ファルセット主体で歌う路地裏の饐えた臭い漂うゲットー・ファンクは、カーティス・メイフィールドやウォーあたりを思わせたりもする。
これがディアンジェロ『Brown Sugar』とほぼ同じ時期にリリースされていたという事実に、今更ながら驚かされる。本作がちゃんとしたプロモーションに乗っていれば、ひょっとしたらジョーンもディアンジェロと並んで新時代のソウル・ミュージックの旗手になっていたかもしれない。個人的には、当時『Brown Sugar』よりも本作の方を気に入ってよく聴いていた。
猥雑なグルーヴをユルユルと垂れ流すスロー・ファンク「I'm Da Man...」、深く潜行するベースがグルーヴを司る「Ghetto」、Gファンク調のシンセが妖しく響く「Gotta Get Paid」、ブギーなグルーヴがウネる「Get Your Groove On」、哀愁滲むゲットー・ブルーズ「Deep」、ピーヒャラ・シンセとワウ・ギターが蠢くオーガナイズド・ノイズ/ソサイエティ・オブ・ソウルっぽい「High」、アッパーなファンク・ナンバー「Blow My Mind」、ファルセットと地声で迫るギャングスタ・グルーヴ「Swing That Ass」と、埋もれさせておくには勿体ないカルト名盤。