chocolate invasion
The Chocolate Invasion / Prince
 NPG '04 

2004年に会員制ウェブサイト、NPGミュージック・クラブからダウンロードのみでリリースされたアルバム『The Chocolate Invasion』。
元々は、2001年から2002年頃にNPGMCから単発で配信されていた楽曲を、後年になってアルバムとしての体裁にまとめてダウンロード販売したもの、とのこと。
2000年前後のプリンスは、そのキャリアにおいて最も混迷を極めていた時期。99年には、アリスタとワン・ショットのディールを結び、久々のメジャー・リリース作『Rave Un2 The Joy Fantastic』を発表しているが、コレは数有るプリンスのアルバムの中でも、最も評価の低い作品のひとつ。メジャー・レーベルとの契約の一方で、楽曲リリースの方法を色々と試行錯誤していた頃でもあり、NPGMCを立ち上げ、時代の10年は先を行くネット配信を敢行。ただ、その当時は、プリンスのこういった活動は一般リスナーからは見え辛く、個人的にも最もプリンスの音楽と疎遠になっていた頃だったので、NPGMCでの活動はまったくフォローしていなかった。
当初はNPGMCからダウンロード限定でリリースされた『The Rainbow Children』が、翌年にはフィジカルでリリースされプリンス復活の狼煙を上げる重要作となる一方で、本作や『The Slaughterhouse』などはCD化されることなく放置されてしまった不幸な作品と言える。自分自身も、昨年になってようやくこれらの作品を聴くことができたのだが、この『The Chocolate Invasion』、それまで聴かなかったのが悔やまれる出来の良さ。
リズム・トラックは打ち込み主体でエレクトロな質感ながら、生っぽいグルーヴもしっかり携えたファンク・サウンド。派手さは無く、地味目なプロダクションだが、プライヴェートで密室的なサウンドは80年代からのファンの溜飲を下げるものだ。
不穏なムード漂うスロウ「When Eye Lay My Hands On U」、ソリッドにアグレッシヴに攻めるファンク「Judas Smile」はアイディア豊富に展開し飽きさせない。隙間の多いサウンドのミドル「Supercute」、浮遊感のあるミディアム・スロウ「Underneath The Cream」、エレクトロなへヴィー・ファンク「Sexmesexmenot」、おどけた調子でウネるファンク・ナンバー「Vavoom」、軽快に疾走するグルーヴィー・チューン「High」、穏やかなインスト・スロウ「Gamillah」、アンジー・ストーンとデュエットとしたスロウ・ジャム「U Make My Sun Shine」など、苦難の時代にあっても才能は涸れていなかったことが分かる。