live in europe
Live In Europe / Curtis Mayfield
 Ichiban '88 

70年代前半の輝かしいキャリアと比較すると、80年代はカーティスにとって苦渋の時代だったに違いない。
88年リリースの本作は、そんな第一線からは大きく遠ざかっていた頃のライヴ盤。しかしながら、UK発のレア・グルーヴ以降のカーティス再評価の波が少しづつ広がって行こうとしていた頃と思われ、本作がヨーロッパでのステージの模様を収めたものであることも、当時アメリカよりも欧州でカーティスが歓迎されていた事実を物語っている。
当然ながら、あの名盤『Curtis/Live!』には及ぶべくもないけれど、キーボードのキラキラした音色に目を瞑ることが出来れば、本作も十分楽しめる。そもそもカーティスの楽曲において鍵盤類の果たしていた役割は極限られたものだったハズだが、ココではやたら80年代的なキーボードの質感が目立つ。しかし、カーティスのヴォーカルとギターは今だ健在だし、マスター・ヘンリー・ギブソンのパーカッションがバンドの音のエッジを際立たせている。
バンドのみの演奏によるクールでジャジーなインスト「Ice 9」からライヴはスタート。ヘンリー・ギブソンのパーカッションがグリッティにグルーヴを繰り出す、これはなかなかカッコいい曲。バンドの露払いの後、いよいよカーティスも加わって演奏されるのは「Back To The World」。さすがにオリジナル版のようなスケールの広がりは無いが、ライヴでこの曲が聴けるのは嬉しい。ジェット機の音もシンセで代用。「It's Alright」「Amen」「Gypsy Woman」とインプレッションズ時代の名曲で和やかに盛り上がった後、『Superfly』から「Freddie's Dead」「Pusherman」をパフォーマンス。 ここでもヘンリー・ギブソンのパーカッションが効いていて、クールでグルーヴィーなファンクネスがイカす。
「We've Gotta Have Peace」のキラキラとした疾走感は、このバンドの音に合っているかも。『Curtis/Live!』での名演・名唱が名高い「We've Only Just Begun」は、やはりクリア過ぎる音がやや興を削ぐが、カーティスの濡れた喉はあの時のまま。そしてこの曲の後はもちろん「People Get Ready」で、もうそれだけで嬉しくなってしまう。
大名曲「Move On Up」でもキーボード氏はいろいろ音を入れてきてくれるが、もうこの辺りまで来ると、この装飾過多なサウンドにも慣れてきて、それほど耳障りでは無くなってきたり。曲の途中でヘンリー・ギブソンが「We People Who Are Darker Than Blue」を思わせるアフロ・パーカッション・ブレイクを挟み込んできて、もうそれだけで大満足。タイトなグルーヴで駆け抜ける「If There's A Hell Below」もイイ。ラストの「When Seasons Change」は、隙間だらけの演奏で異様な緊張感を生んでいたオリジナル版と比べてはいけないが、ゴスペルっぽいアプローチは新鮮ではある。