why cant we live together
Why Can't We Live Together / Timmy Thomas
 Glades '72 

ティミー・トーマスの1stアルバムとなる本作『Why Can't We Live Together』は、70年代のソウル・ミュージックの中でも、一際異彩を放つ作品。
アルバム全編に渡り、演奏はリズム・ボックスとオルガンのみ。リズム・ボックスの使用は、スライ『暴動』の先例はあるものの、ここでのアプローチはスライ以上に大胆。チープでローファイ、隙間だらけのサウンドながら、ティミー・トーマスのヴォーカルと相まって、レイジーで抑制されたファンクネスと哀愁滲むサウンドが耳にこびりつくニュー・ソウル傑作。
やはり本作の白眉は大ヒット曲「Why Can't We Live Together」。パーカッシヴなリズム・ボックスの隙間から零れるアーシーなハモンド・オルガンの響きと切ないヴォーカルが堪らない名曲。
淡々としたリズムを刻む「Rainbow Power」、クールなオルガンに才気が宿る「In The Beginning」、スライばりのルーズなスロー・ファンク「Cold Cold People」、どこかノスタルジックな「Dizzy Dizzy World」、リズム・ボックスが暴走するファンク・チューン「Funky Me」など、その他の自作曲にも抗えない不思議な魅力がある。
ロバータ・フラック「The First Time Ever I Saw Your Face」、チャイ・ライツ「The Coldest Days Of My Life」といったカバー曲も完全にオリジナルな世界に染め上げる。