aint nothin stoppin us now
Ain't Nothin' Stoppin' Us Now / Tower Of Power
 Columbia '76 

ライヴ盤『Live And In Living Color』を置き土産にワーナーを離れ、新たにコロンビアと契約しリリースしたのが本作『Ain't Nothin' Stoppin' Us Now』。
正直なところ、コロンビア移籍後のタワー・オブ・パワーを侮っていた。あまりまともに聴いていなかったのだが、改めて本作をしっかり聴いてみて、これが意外や聴きどころの多い好盤だと認識を改めた次第。
本作ではドラムスのデイヴィッド・ガリバルディが2度目の脱退で不在。そのせいかファンクは確かに軽くなっているが、後任ドラマーのロニー・ベックも健闘。ベースのフランシス・”ロッコ”・プレスティアとのリズム・セクションから繰り出されるグルーヴは十分にカッコいい。
またヴォーカルも前任のヒューバート・タブスからエドワード・マッギーに交代。骨っぽくオーセンティックなソウル・シンガーだったタブスと比べると、マッギーは前々任のレニー・ウィリアムスに近いハイトーン系で、時折ファルセットも駆使して歌い上げるスタイルは実力十分。ドラムとヴォーカルが替わったことで、ファンク色はやや後退したが、代わってメロウな肌合いのソウル・ナンバーが充実。円熟のソウル・バンドとしてのスタンスを打ち出した作品。もちろん、鉄壁のホーン・セクションは健在。
TOPらしいミディアム・ファンクの「Ain't Nothin' Stoppin' Us Now」「Deal With It」も間違いないが、
蕩けるメロウ・ソウル「By Your Side」、陽性のミディアム・ソウル「Make Someone Happy」、「Because I Think World Of You」、グルーヴィーなメロウ・ソウル・ダンサー「You Ought To Be Havin' Fun」、西海岸の風に吹かれる「It's So Nice」、流麗なストリングスを伴った「While We Went To The Moon」といったメロウ・ソウル曲群の気持ち良さったら無い。
アーシーなソウル・バラード「Doin' Alright」を聴いて思い出したのは同郷の後輩であるトニ・トニ・トニの「Still A Man」。この曲が収録されたアルバム『House Of Music』には、TOPのホーン・セクションが参加した「Wild Child」という曲もあったが、TOPというバンドがベイエリア/オークランドの後進たちに与えた影響の大きさを改めた感じた。