prince

丸屋九兵衛さんの新著は、これまた待望の殿下語り。
殿下が“お隠れ”になって以降、ここ日本でも様々な関連書籍が出版され、いくつか購入してみたが、無条件に礼賛するばかりの内容のものも多く、中には夢見がちな文章が気持ち悪くなるようなブツもあった。
そういった類の書籍とは一線を画すこの本。スペシャストアのこの本の紹介文がすべてを物語る。「世を去った偉人を持ち上げるだけの類書に飽き飽きしたあなたに捧ぐ」。そう、まさにこういうプリンス本が読みたかった!
前著『丸屋九兵衛が選ぶ、ジョージ・クリントンとPファンク軍団の決めゼリフ』同様、その暗喩に富んでいそうで露骨にスケベな、はたまたその逆のようなプリンスの歌詞世界をQB氏が読み解く。その膨大な知識量と引き出しの多彩さは、“ネクスト荒俣宏”の面目躍如。痛快なまでの戸田某批判も面白い。
ここにあるのは無条件・無批判な殿下礼賛ではない。プリンスの性悪さ、偏狭さ、尊大さを度々チクリとする。そんな部分も含めて、人間プリンスを我々ファンは「愛してやまない」のだ、そんなプリンス愛が本書の隅々から溢れている。
触れられているエピソードのほとんどは、デビューから90年代前半まで、つまりプリンス全盛期のものがほとんど。だから『Emancipation』プロモーション来日時にQB氏が接近遭遇したエピソードもここでは語られていない。紙数に限りがあるため、全盛期中心の内容に絞ったのではないかと想像するが、こうなると前著共々、続編もしくは増補版を期待したくなる。