dangerous
Dangerous / General Caine
 Tabu '83 

ミッチ・マクドウェル率いるLAの路上叩き上げのファンク・バンド、ジェネラル・ケイン。
前作『Girls』で、フレッド・ウェズリー、メイシオ・パーカー、リチャード・クッシュ・グリフィス、レイ・デイヴィス、ドーン・シルヴァら、Pファンク人脈をゲストに迎え、Pファンクの流儀を受け継ぐ80年代型ヘヴィー・ファンク・バンドとしての完成を見たジェネラル・ケインだが、続く通算4作目、タブーからの2枚目となる本作『Dangerous』では軌道修正が図られることになった。

これまでのマクドウェルのセルフ・プロデュースから、本作では外部プロデューサーを招聘。白羽の矢が立ったのは、ダズ・バンドで成功を収めたレジー・アンドリュース&レオン・ンドゥグ・チャンクラーのコンビ。結果、ダズ・バンドっぽくなったと言うか、従来のヘヴィー・ファンクは姿を消し、サウンドが軽くなってしまった。
本作がリリースされた83年というのは、ファンク・バンドにとっては非常に難しい時期で、何もジェネラル・ケインに限ったことではなく、多くのバンドが軽量化・エレクトリック化していったワケで、マクドウェルも時代の趨勢には逆らえなかったということだろう。

それでも本作は、マクドウェルの意地を見せつけるような力作に仕上がっている。音は軽くなっても、十分にカッコいいファンクを聴かせてくれる。前作のような豪華なゲスト陣はなく、Pファンク所縁の人物は前作に引き続いて参加したグレン・ゴインズの弟、元クエイザーのケヴィン・ゴインズのみ。メンバーの入れ替わりもあったようで、目を引くところでは、元グラハム・セントラル・ステーションのハーシャル・ハピネス・ケネディーがメンバーに名を連ねている。

アルバム冒頭の「Bomb Body」はエレクトロな質感のミッド・ファンクで、いきなりバンドの変化を感じさせる。「By My Side」はギター・カッティングも軽快なファンク・ダンサー。「Yellow Pages」もダンサブルなナンバーだが、よりヘヴィーに構えたゴツいクール・ファンク。ポップなミディアム・スロウ「Upside Down」、ミネアポリス・サウンド的な「Ooh, Aah」、ソリッドでシャープなファンク・ナンバーの「The Bus」、抑制されたミドル・チューンの「Get Closer」、ラストは前作の「For Lovers Only」路線(でも一歩及ばないが)の濡れたスロウ・ジャム「True Love」。