slow funk

アグレッシヴでアッパーな熱いファスト・ファンクももちろん好きだけど、グッとテンポを落としてルーズに垂れ流すスロー・ファンクの方により惹きつけられる。
ファンクにおける1拍目の重要性を説いたJBの「The One」理論は、ファンク界の相対性理論とも言うべき、ファンク・ミュージックの根幹を定義するものだが、ジョージ・クリントンが言ったとか言わないとか(言ってない)「ファンクは遅ければ遅いほど良い」仮説は、異端かもしれないが、ある一面では真理だと思う。
スローなテンポでジワジワ、ウネウネと脈動するグルーヴ。抑制に宿り、増幅するファンクネス。この快楽を一度カラダに植えつけられると、もう逃れることは不可能。そんな中毒性の高いスロー・ファンク名曲、全12曲のプレイリスト。
(アルバム・ジャケット及びタイトルから過去レビューにリンクしています)


there's a riot goin onM-1
Just Like A Baby / Sly & The Family Stone
 from『There's A Riot Goin' On』

『暴動』以降のスライは、ミドル~スローなファンクを量産。ヘヴィーにウネる「Thank You」も超S級のスロー・ファンクだが、ここでは地味目なこの曲を。ささくれたクラヴィネット、ボビー・ウォマックの枯れたギター、物憂げに呟くようなスライのヴォーカル。倦怠感で爛れたグルーヴがルーズに彷徨う、クセになる1曲。

clones of dr funkensteinM-2
I've Been Watching You / Parliament
 from『The Clones Of Dr. Funkenstein』

名盤を連発した75年~77年のパーラメントの中でも、本作は徹底したミドル/スロー・ファンク攻め。そのなかでもこの曲は、スライの影響を残した哀愁スロー・グルーヴでお気に入り。グレン・ゴインズがむせ返るほどにディープに歌い込むソウルフルな逸品。

rejuvenationM-3
Just Kissed My Baby / The Meters
 from『Rejuvenation』

ミーターズは「Sophisticated Cissy」など、初期からドロリとしたニューオリンズ・スロー・ファンクを多くやっていたが、個人的に1番好きなのはこの曲。
ヘヴィーにウネるドラムス&ベース、掻き毟るようなワウ・ギター、呪術的なオルガン、野卑なヴォーカルが一体となった超重量級スロー・ファンク。

world is a ghettoM-4
Four Cornered Room / War
 from『The World Is A Ghetto』

呪術的なムードでのたうつこの曲は、名盤『The World Is A Ghetto』のなかでも取り分け取っつきにくい曲。初期ファンカデリックにも通じる暗く澱んだ禍々しさに満ちた、ダークで混沌としたスロー・ファンク。


sir joe quartermanM-5
I Feel Like This / Sir Joe Quarterman & Free Soul
 from『Sir Joe Quarterman & Free Soul』

スライ+JB+カーティスな、ロウなファンクがたっぷり詰まったレア・グルーヴ古典作から。ジョー・クォーターマンの熱く迸るヴォーカルに、ネットリとまとわりつき、グツグツと煮え滾るようなグルーヴが好きモノには堪えられないスロー・ファンク・チューン。

theres no place like america todayM-6
Billy Jack / Curtis Mayfield
 from『There's No Place Like America Today』

カーティスの大名盤『There's No Place Like America Today』の冒頭のこの曲。超タイトでドライ極まるリズム隊に、カーティス専売特許のワウ・ギターがルーズに絡みつく。隙間だらけなのに異様な緊張感が張りつめるスロー・ファンク・クラシック。

voodooM-7
Playa Playa / D'angelo
 from『Voodoo』

この曲を初めて聴いた時、いや正確に言うと、リズム・セクションの繰り出す重いファンク・リズムがジワジワと迫り、乾いたリムショットを合図に一斉にグルーヴが雪崩れ込む冒頭の30秒で、完全にKOされた。
まさにヴードゥーの儀式を思わせる禍々しい雰囲気、黒く油まみれの澱んだグルーヴ、スモーキーなホーンなど、Pファンクの意匠を受け継ぐ2000年代屈指のスロー・ファンク。

doing it to deathM-8
You Can Have Watergate Just Gimme Some Bucks And I'll Be Straight / The J.B.'s
 from『Doing It To Death』

緊張感ギチギチの70年頃までのJBと比べると、ブーツィー脱退後はリズムの隙間が多くなり、インスト・メインのJB'sのアルバムでは心地よいユルさのファンク/ジャズ・ファンクが増える。
この曲のかなりモタったリズムは、曲として成立する結構ギリギリのところの気持ち良さで、なかなか常習性の強い、脳が溶けそうな極楽スロー・ファンク。

ecstasyM-9
(I Wanna Know)Do You Feel It? / Ohio Players
 from『Ecstasy』

オハイオ・プレイヤーズの中でもかなり地味目な曲だが、何かがゴソゴソと暗闇で蠢いているような、怪しげなムードのスロー・ファンク。
展開部分でテンポ・アップするあたりは、流石はジュニーといった感じで、一筋縄ではいかない。

get togetherM-10
Get Together / The Metro-Tones Inc.
 from『Get Together』

アトランタのゴスペル・グループによる異色のスロー・ファンク。
レイジーなグルーヴに、ねっとりと湿り気を帯びたエレピがクールに絡まる。スライ『Fresh』を思わせるような感触が嬉しい。


we cant take life for grantedM-11
Wah Wah Funk / Eugene Blacknell
 from『We Can't Take Life For Granted』

ベイエリアのファンク/ソウル・シーンを陰で支えたギタリスト、ユージン・ブラックネルの強力な一発。
「Wah Wah Funk」というタイトルだけで白飯3杯はイケそうな曲だが、ヘヴィーなドラムスと黒く煤けたオルガンによる、引きずるような重く遅いグルーヴが最高に旨いスロー・ファンク。

no time to burnM-12
Check It All Out / Black Heat
 from『No Time To Burn』

ブラック・ヒートは過小評価に甘んじているが、3枚のアルバムはどれも傑作で、個人的には非常に好きなバンド。
燃え盛るような熱血ファンクの印象が強いバンドだが、この曲はウネウネとグルーヴするルーズなスロー・ファンク。スローでも変わらず暑苦しいヴォーカルもファンクネスごり押し。