heavy rhyme experience
Heavy Rhyme Experience : Vol.1 / The Brand New Heavies
 Delicious Vinyl '92 

UKのファンク/ジャズ・ファンク・バンド、ブラン・ニュー・ヘヴィーズの1stアルバムは、USでも評判を集めたようで、「People Get Ready」がオーガナイズド・コンフュージョン「Roosevelt Franklin」で、「Never Stop」がウルトラ・マグネティックMC's「Poppa Large」で、そして「BNH」がアレスティッド・ディヴェロップメントの大ヒット「Tennessee」でサンプリングされるなど、USのヒップホップ・シーンでの評価も高かったように思う。

そんな勢いに乗って企画されたのが、ヘヴィーズと当時第一線で活躍していたUSのヒップホップ・アーティストとのコラボレーション・アルバムである本作『Heavy Rhyme Experience : Vol.1』。
ヘヴィーズによる生演奏のトラックに、ラージ・プロフェッサーやグールーがラップを乗せていく。当時のヒップホップは、70年代のファンク/ソウル/ジャズなどのサンプリングでトラックをつくっていたわけだから、JBを範とするヘヴィーズのサウンドとの相性が悪かろうハズはない。ないのだが、生の演奏によるグルーヴは、サンプリングで組み立てたトラックほどのループ感やビート感が強くないためか、本作の当時の日本での評価(特にヒップホップ・リスナーの評価)はイマイチだったように記憶している。

いや、ヘヴィーズに限らず、この手の生バンド+ヒップホップの試みは、90年代前半にはいくつか見られたが、本国ではどうだったか知らないが、日本のヒップホップ・リスナーの間では冷遇されていたように思う。あのザ・ルーツにしろ、当時はヒップホップというよりも、アシッド・ジャズやジャズ・ファンクのリスナーのウケが良かった。ルーツがヒップホップ・グループとしての評価を高めたのは、バンド感が減退しループとビートを強調した『Illadelph Halflife』からだった。

閑話休題。
本作を今改めて聴き返してみると、これはなかなかカッコいいファンク・アルバムだと思える。このロウでグルーヴィーなバンド・サウンドには、普遍的なカッコよさがある。
メイン・ソース「Bonafied Funk」は十八番のJB's調のファンク・チューン。ギャングスターの「It's Gettin Hectic」はトグロ巻くベース・ラインがグルーヴィーなジャズ・ファンク。グランド・プーバの飄々としたラップがイカすミドル「Who Makes The Loot?」、ややGo-Goっぽいビートのマスタ・エース「Wake Me When I'm Dead」、クールGラップのハードコアなラップとファンクなギター・リフが拮抗する「Death Threat」、掻き毟るようなワウ・ギターがファンキーなブラック・シープ「State Of Yo」、「Do Whatta I Gotta Do」はゴリッとした重いビートにエドOGの太いラップが乗る。ジャマルスキー「Jump N' Move」、タイガー「Whatgabouthat」といったラガマフィンが相手でも、ヘヴィーズの演奏はファンク一徹。
名の通ったMCが名を連ねる中、この時点でほぼ無名の新人グループ、ファーサイドを起用した「Soul Flower」は、グルーヴ感たっぷりの演奏に、4MCの自由闊達なラップやJB「Soul Power」風の掛け合いなど、賑々しいパーティー・チューンで最高。