タイトに刻むビート、深いタメをつくるグルーヴ、ドラムスはリズム音楽であるファンクにおいて最重要パートだ(ファンクに限ったことではないが)。
ファンク界には個性的なドラマーが数多く存在するが、そんな中から個人的に好きなドラマー10人を選抜。演奏の技術的なことや専門的なことは何も分かっていないので、ファンク好きのいちリスナーとして、単純にカッコいいとかスゲェーとか感覚的に選んだ結果が以下のとおり。



clyde stubblefieldjohn starks

Clyde Stubblefield
John "Jabo" Starks


史上最高のファンク・ドラマー、その筆頭はこの御両名で文句なし。
60年代後半から70年代初頭まで、ともにJBの全盛期を支えたこの2人が居なければ、JBのファンク革命は為し得なかっただろう。
クライドの代名詞とも言える「Funky Drummer」をはじめ、「Cold Sweat」「Mother Popcorn」「Give It Up Or Turnit A Loose」など、ジャボの「Get Up I Feel Like Being Like A Sex Machine」「Super Bad」「Soul Power」といったクラシック・ファンク・ナンバーの数々は、以降のファンクやヒップホップはもちろん、現代のあらゆるポピュラー音楽のビートに大きな影響を与えている。
編集盤『In The Jungle Groove』では、JB絶頂期の2人のドラムをみっちり堪能できる。
in the jungle groove
In The Jungle Groove / James Brown



zigaboo
Joseph "Zigaboo" Modeliste

ニューオリンズ・ファンクの最重要バンド、ミーターズのボトムを支えたジガブーことジョセフ・モデリステ。
隙間たっぷりなのに粘っこくヘヴィーなドラムは唯一無二。
70年代には、ミーターズはドクター・ジョンやリー・ドーシー、アラン・トゥーサンなど、ニューオリンズのアーティストのバックアップをはじめ、ロック方面のセッションでも引っ張りダコになったが、ジガブーのドラムスを求めてのミーターズの起用だった部分も大きかったのでは。その影響は広範囲に及び、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムにも影響を与えたとか(聴いたことないので知らないが)。
「Cissy Strut」や「Here Comes The Meter Man」「Live Wire」などを含む1stアルバムは、泥臭くウネるグルーヴの底無し沼。
meters
The Meters



jerome brailey
Jerome Brailey
 
Pファンクの長い歴史のなかでは、多くのドラマーが出入しているが、ビッグフットの異名を持つジェローム・プレイリーは、75年~78年と短い期間ながらもPファンク全盛期のメイン・ドラマーとして活躍。
あの独特の転がるようなドラミングは、「Give Up The Funk(Tear The Roof Of The Sucker)」「Unfunky UFO」「Do That Stuff」といった曲で強烈な存在感を放っている。
Pファンクのアルバムには大抵2~3人のドラマーがクレジットされているが、曲ごとのクレジットが不明瞭なので、実際のところ、どの曲がジェロームなのかはよく分からない(前述した曲はその特徴的なドラミングでジェロームだと分かる。しかし、「Big Footin'」や「Placebo Syndrome」などもジェロームっぽいと思うのだが、河地本によると違うらしい)。ライヴのリハーサル音源の『Mothership Connection Newberg Session』は全編ジェローム、しかも相当に調子のいい時のプレイのようで、非常にグルーヴィー。
newberg session
Mothership Connection Newberg Session / Parliament-Funkadelic



bernard purdie
Bernard Purdie

ソウル/ファンク/ジャズ/ロックを股にかけ、膨大な数のセッションにそのドラム・プレイを残した、名実ともにNo.1セッション・ドラマー、バーナード・パーディー。
参加作品があまりにも多過ぎて、とても把握しきれるものではないが、そのなかでファンクな1枚を選ぶとなると、アレサ・フランクリン『Live At Fillmore West』の前座の模様を収めた、キング・カーティスの『Live At Fillmore West』、なかでも「Memphis Sou Stew」での神プレイ。
リーダー作も多く、それらの作品ではドラムによりフォーカスされた録音になっているので、そちらもおススメ。
live at fillmore west
Live At Fillmore West / King Curtis



paul humphrey
Paul Humphrey

東のパーディーに対し、西のハンフリー。
パーディーほどではないが、主に西海岸のソウル/ジャズのセッションで多くの録音を残したポール・ハンフリー。
一番好きなのはマーヴィン・ゲイ『Let's Get It On』での色気たっぷりのプレイだが、ファンクということで言えば、ジミー・スミスの鬼ジャズ・ファンク・ライヴ盤『Root Down』にトドメを刺す。数枚あるリーダー作も、まったり寛いだ風情のジャズ・ファンク盤で気持ちいい。
root down
Root Down / Jimmy Smith



james gadson
James Gadson

パーディー、ハンフリーと来たら、この人も挙げないワケにはいかない、ジェイムス・ギャドソン。
ワッツ103rdストリート・リズム・バンドのドラマーとして頭角を現し、その後ウェスト・コーストを中心にソウル/ジャズ・シーンで幅広く活躍。80年代にはボビー・ウォマックのアルバムでプロデューサーを務めたり、最近ではディアンジェロ『Black Messiah』の数曲でプレイするなど、今だ衰え知らず。
代表作は、ビル・ウィザーズ『Still Bill』か、マーヴィン・ゲイ『I Want You』だろうが、ここでは、抑制されたファンクネスを孕むウィザーズのライヴ盤『Live At Carnegie Hall』を挙げたい。
live at carnegie hall
Live At Carnegie Hall / Bill Withers



david garibaldi
David Garibaldi

タワー・オブ・パワー全盛期のドラマー、デイヴィッド・ガリバルディ。
70年代後半以降は、TOPを出たり入ったりしていたが、ガリバルディのドラムあってのオークランド・ファンクだったのは間違いない。
手数の多い印象のドラマーだが、特にベースのロッコとのコンビネーションは抜群で、このリズム隊の強力なグルーヴが聴ける「Squib Cakes」「Oakland Stroke」を含む74年の『Back To Oakland』は名盤。
back to oakland
Back To Oakland / Tower Of Power



tiki fulwood
Ramon "Tiki" Fulwood

ファンカデリックのオリジナル・メンバーであるティキ・フルウッド。
永らくパーラメント/ファンカデリックのメイン・ドラマーを務めたが、ハードなドラッグ禍が祟ったこともあり、75年頃からはその座をジェローム・ブレイリーに奪われ、ジェローム脱退後はタイロン・ランプキンに取って代わられた。70年代後半のティキは、エディ・ヘイゼルやファジー・ハスキンズなどの馴染みのメンバーのソロ作に顔を出していたが、79年には胃癌で亡くなってしまう。
グルーヴィーな「Good Old Music」や、ドコスカ爆裂するビートが圧巻の「Wars Of Armageddon」など、初期ファンカデリックのボトムを担った忘れ難きファンク・ドラマー。
maggot brain
Maggot Brain / Funkadelic



questlove
Ahmir "Questlove" Thompson

クエストラヴは、ザ・ルーツの頭脳にしてドラマーであるのはもちろんだが、それ以上に、現代のファンク/ソウル・ミュージックの最重要人物の1人。
決定的なのはやはり、ディアンジェロ『Voodoo』で見せた独特のルーズでファンクなグルーヴ。ディアンジェロの思い描いたビートを忠実に再現してみせた。また一介のドラマーとしてだけでなく、ムラッ気の多いディアンジェロに根気よく付き合い、アルバムとして完成させた。その役割は15年ぶりのアルバム『Black Messiah』でも変わらず。ディアンジェロの面倒を見ることができるのはクエストラヴしかいない。
その他、コモン『Like Water For Chocolate』などのソウルクエリアンズ関係や、ジョン・レジェンドのニューソウル・カバー集『Wake Up!』、アル・グルーンやベティー・ライト、ブッカー・T・ジョーンズといったソウル・レジェンド達とのコラボレーションでは、見事なプロデュース手腕を発揮した。
voodoo
Voodoo / D'angelo