hangin out
Hangin' Out / Funk Inc.
 Prestige '73 

オルガン奏者のボビー・ワトリー率いる5人組ジャズ・ファンク・バンド、ファンク・インク。
プレスティッジに残した5枚のアルバムは、いずれもスモーキーでイナタいソウル・ジャズ/ジャズ・ファンク・サウンド。90年代初頭のアシッド・ジャズ、レア・グルーヴのブームの折に、プレスティッジの10000番台を中心に、それまでジャズ・ファンからは見向きもされなかっただろうファンク/ソウル寄りの作品が大量にリイシューされたが、ファンク・インクのアルバムもその時にひと通り買い揃えたクチ。所詮はB級なのだが、どこか抗えない魅力のあるバンドで、結構よく聴いている。

本作『Hangin' Out』は3rdアルバム。全6曲のうち、3曲でゴードン・エドワーズがベースを弾いているため、前2作『Funk Inc.』『Chicken Lickin'』と比べるとファンクの骨格が顕わになっていて、本作で手応えを得たのか、次作『Superfunk』でもベースを導入し、よりファンク/ソウル寄りのサウンドになっていく。
「Smokin' At Tifany's」は、冒頭いきなりゴツいドラム・ブレイクを放り込み、太いベースと乾いたコンガがグルーヴを生む、煙たいジャズ・ファンク・チューン。カーティス・メイフィールドのカバー「Give Me Your Love」もコンガが効いたグルーヴィーなナンバーで、エモーショナルに悶えるギターもイイ感じ。「We Can Be Friends」はラテンが臭う軽快なジャジー・グルーヴ。
「Dirty Red」はオルガンが効いた臭みたっぷりにウネるレア・グルーヴ・チューン。ジョニー・ナッシュ「I Can See Clearly Now」や、スピナーズ「I'll Be Around」のカバーも、土臭くパーカッシヴなグルーヴで貫かれている。