i am what i am
I Am What I Am / Ruth Copeland
 Invictus '71 

ルース・コープランドはイギリス生まれの白人女性ロック・シンガー。
どういうワケか、70年代初頭にインヴィクタスからアルバムを2枚リリースしている。この人がロックの分野でどういう風に評価されているのかはまったく知らないのだが、初期ファンカデリックがバック・アップしたことでPファンク史にその名を残している。
同時期にパーラメントがインヴィクタスから『Osmium』をリリースしており、その関係からファンカデリックの面々がバックを付けることになったのだろうが、作曲クレジットにクリントンやエディー・ヘイゼルの名前があったり、1st『Self Portrait』収録のルース作「The Silent Boatman」を『Osmium』で取り上げていたりと、両者は単なるレーベル・メイト、ビジネスとしての関係ではなく、案外深いところで共鳴していた同志的な間柄だったのかもしれない。

この2ndアルバム『I Am What I Am』は、サイケデリックなロック・サウンドで、ファンク要素は薄く、 『Maggot Brain』のような魑魅魍魎が蠢いているようなダークな質感は感じられないが、それでも、ティキ・フルウッドとビリー・ネルソンのヘヴィーなリズム・セクション、とんでもない熱量を孕むエディーのギター、そしてバーニーのキレた鍵盤と、初期ファンカデリックの凄味が伝わってくる。主役のルースの歌は上手いものの、やはり白く、ソウル的な妙味を求めるのはお門違い。

アルバム冒頭の「The Medal」はバーニーのピアノ一本をバックにした歌唱から始まり、やがてティキのドラムスがドカドカと踏み入ってきて、エディーのギターがギュワンギュワンと嘶く。「Crying Has Made Me Stronger」はルース流ゴスペルで、鍵盤とコーラスがチャーチなムードを醸す。「Hare Krishna」はスワンプ風味のロック・ナンバーで、バーニーのオルガンが効いている。「Suburban Family Lament」はティキのドラムが超絶グルーヴィーなファンク・ロックで、コレはそのまんま当時のファンカデリック・サウンド。エディのギターもいちいちカッコいい。

「Play With Fire」はストーンズのカバーとのことだが、すいません、オリジナル聴いたことありません。原曲を知らないファンク/ソウル耳には、あまり面白いとは思えないロック・ナンバー。「Don't You Wish You Had(What You Had When You Had It)」もファンク要素ゼロなのだが、ドラムもベースもギターも流石のグルーヴ。ラストの「Gimme Shelter」はさすがに知ってるストーンズの有名曲。やはりここでもバンドの繰り出すドライヴ感たっぷりの演奏はカッコよく、ロックとファンクの垣根を軽々と飛び越えてみせる。