im not blind i just cant see
I'm Not Blind... I Just Can't See / Calvin Scott
 Stax '71 

60年代にはクラレンス・カーターとのデュオで活動していたという、盲目のソウル・シンガー、カルヴィン・スコット。
先にソロ・デビューしスターとなったクラレンス・カーターとは対照的に、交通事故などのトラブルに巻き込まれ、思うような活動ができなかったカルヴィンは、71年になってようやくソロ・アルバムのリリースに漕ぎ着ける。

それが本作『I'm Not Blind... I Just Can't See』で、スタックスからのリリース。しかしながら南部ではなくウェストコーストでの録音。ポール・ハンフリーの他、ウィルトン・フェルダー、アーサー・アダムス、ジョー・サンプルのクルセイダーズ勢がバックアップ。2年後のマーヴィン・ゲイ『Let's Get It On』にも通じるメンツで(アダムスは『Let's Get It On』には参加していなかったか)、西海岸的な風通しの良さと、どっしりと土臭いサザン・フレイヴァーがいい塩梅に混ざったサウンドに、カルヴィンのディープなヴォーカルが沁み渡る傑作。

アルバム1曲目のミディアム「A Sadness For Things」から、素晴らしくソウルフルなヴォーカルと演奏が繰り広げられる。グルーヴィーなアップ・ナンバーの「Shame On The Family Name」「Goodness Gracious」「Gonna Make It This Time」といった曲でみせる抜群のノリ、ダイナミックな歌唱にヤラレること必至。その他、バラードの「I've Made A Reservation」「Will You Go With Me」、アーシーなブルーズのBBキング「Sweet Sixteen」のカバー、円やかなサザン・ソウルの「Goin' Back To Eden」、マーヴィン「Can I Get A Witness」、エディー・フロイド「Never Found A Girl」のカバー、ラストのグイグイと突き進むアップ・ナンバー「Whirlpool」まで、良曲揃い。