purple rain
Purple Rain Deluxe Expanded Edition / Prince & The Revolution
 Warner Bros. '17 

待ちに待った『Purple Rain』デラックス版がついにリリース。
最初にアナウンスされたのが2014年。その時はリリース30周年記念盤という話だったのが、それから3年の時を経てようやく実現。その間にプリンスは旅立ってしまったが、今は素直にこの喜びを噛みしめたい。

今回、2CDモノも出ているが、もちろん、3CD+1DVDのエクスパンディッド・エディションを迷わず購入。
ディスクはそれぞれ、

Disc1:Original Album(2015 Paisley Park Remaster)
Disc2:From The Vault & Previously Unreleased
Disc3:Single Edits & B-Sides
DVD:Live at the Carrier Dome, Syracuse, NY, March 30, 1985

という内容で、やはり目玉は2枚目。


まず、ディスク1は『Purple Rain』初のリマスター盤(というか、プリンスのオリジナル・アルバムでは初のリマスター)で、それだけでも価値は高いが、何と生前のプリンス本人の手によるリマスターとのことで、その事実が何より嬉しい。もちろん音質も向上しており、これからプリンスを聴き始めようという人にも、このリマスター盤を勧めたい。
改めて言うまでもないが、ド派手で猥雑でロックでファンクな、若さと才能とエナジーが溢れ出まくった超名盤。

以下、オリジナル版の過去レヴュー。

『Purple Rain』


purple rain deluxe


ディスク2は、83~84年頃、つまり『Purple Rain』と同時期に録音されるもお蔵入りとなった未発表曲群(の一部の楽曲)を惜しげもなく放出。これまでにもブートレグで聴けた曲も多いが、こうやって良い音質でオフィシャルにリリースされたことは喜ばしい限り。

「The Dance Electric」は、旧友アンドレ・シモーンに提供した曲の、プリンス自身によるヴァージョン。クールに疾走するゴツいファンク・ダンサーで、11分超の長尺だが終始攻めまくるアグレッシヴなナンバー。
「Love And Sex」は今回初めて聴いた曲。「Delirious」を荒っぽくしたような感じの曲で、喉を潰すようにシャウトするプリンスのヴォーカルも最高。こういう曲が聴けるのは本当に嬉しい。

「Computer Blue("Hallway Speech" Version)」は12分に及ぶロング・ヴァージョンで、ブートで聴きまくっていたこの曲を素晴らしい音質で聴ける日が来るとは、感無量。アルバム・ヴァージョンの3倍もの長さだが、まったく飽きさせることなく展開していく才気の迸りが凄まじい。

「Electric Intercourse」は、83年8月3日のファースト・アヴェニューでの伝説のステージで披露された6曲のうち、唯一アルバムに収録されなかった曲(他の5曲は、「Let's Go Crazy」「Computer Blue」「I Wolud Die 4 U」「Baby I'm A Star」「Purple Rain」)。従来ブートで聴けたのは、この時のライヴ録音のもので、スタジオ録音は今回初めて聴いた。ライヴ・ヴァージョンがとにかく好き過ぎるのだが、このスタジオ・ヴァージョンもやはり名曲。

「Our Destiny / Roadhouse Garden」も初聴で、前半がリサのリード・ヴォーカルによるポップでキレイな佳曲。曲頭のストリングス・アレンジはその後「The Ladder」に流用された。レコーディングではジル・ジョーンズも歌を入れたらしいが、ここに収録されているヴァージョンではリサ単独のヴォーカルのよう。後半部分はプリンスがヴォーカルを取る。後の『Dream Factory』のプロジェクトに繋がっていくようなテイストの組曲。

「Possessed」はチープなリズム・トラックとシンセ音が良くも悪くも時代を感じさせるダンス・ナンバー。これまでブートで聴いていたのは、ヴォーカル・ヴァージョンとインスト・ヴァージョンの2種類あり、それぞれアレンジが異なっていたが、ここに収録されたのはインスト・ヴァージョンのトラックにヴォーカルを入れたモノ。
「Wnderful Ass」はドラム・マシンとシンセ、カッティング・ギター、クールに抑制されたヴォーカルがカッコいいミッド・ファンクで、この手の曲は大好物。これもブートで聴いていて大好きだった曲なので大満足。

「Velvet Kitty Cat」も今回初めて聴いた曲。シンプルでポップなややロカビリー調のナンバーで、プリンスも随分ラフと言うか、リラックスした雰囲気で歌っている。
ヴァニティのことを歌ったと思われる「Katrina's Paper Dolls」、これも今回初聴。前曲同様ポップだが、かわいらしい感じの曲で、それこそヴァニティ6用に書いたんじゃないかと思えるような、女性シンガーに合いそうな曲だ。

「We Can Fuck」は、あの「We Can Funk」の初期ヴァージョンで、タイトで激カッコいいファンク・チューン。これまでブートで聴いていた「We Can Funk」は、86年に録音されたグッとテンポを落としたスロー・ファンク・ヴァージョンだったが、今回収録されたのは更に遡って83年に録音された最初期のモノで、 『Graffiti Bridge』収録版により近い印象。もともと「We Can Funk」は『Graffiti Bridge』版も86年版も大好きなのだが、今回初めて聴いたこの83年版「We Can Fuck」こそベストじゃないかと思わせる素晴らしさ。

ラストの「Father's Song」は父、ジョン・L・ネルソンの作曲、プリンスが演奏したピアノ・インスト。映画でも使われた曲で、メインのメロディが「Computer Blue」のギター・フレーズに流用された。


revolution


ディスク3は、『Purple Rain』からのシングル曲の各種エディット、及びB面曲。曲としては『The Hits / The B-Sides』や『Ultimate』でも聴くことは出来たが、ここではロング・ヴァージョンもしっかり収録されているのが嬉しい。

以下、収録された曲のうち、過去にレヴューしたもの。

「17 Days」
「Let's Go Crazy(Special Dance Mix)」
「Erotic City」
「Another Lonely Christmas」
「I Would Die 4 U(Extended Version)」


DVDは、85年シラキュースでのライヴ映像。過去にVHSやレーザー・ディスクでリリースされていたモノのようだが、個人的には今回初めて見た。正直、画質は良くないし、「When Doves Cry」のPVを模した、鏡を使った謎演出は理解に苦しむが(プリンスらしくもある)、こうやって現在手軽に鑑賞できるメディアで出されたのは、やはりファンとしては嬉しい。
もちろん、当時勢いに乗りまくっていたプリンス&ザ・レヴォリューションの熱いパフォーマンスは素晴らしいとしか言いようがない。


以上、オリジナル版のリマスター+アルバムから漏れた未発表曲+アルバムからカットされたシングルの各種テイク及びB面曲+当時のライヴ映像、という、ほぼ理想的な内容のデラックス拡張盤。また、ブックレットに掲載されたスーザン・ロジャーズの回顧録と、レヴォリューション・メンバーによる『Purple Rain』全曲解説も読み応えたっぷり。
こうなってくると、その他の作品のリマスター&デラックス盤にも俄然期待せざるを得ないワケで、ワーナーには何としてでも80年代の全アルバムを今回と同様のカタチで復刻してもらいたい。