music
Music / Omar
 Talkin' Loud '92 

デビュー・アルバム『There's Nothing Like This』が大きな話題を呼んだオマー。UKではチャート1位になるヒットを記録、日本でも当時それなりに注目されたように記憶している。
その1stアルバムは、当時アシッド・ジャズ・ムーヴメントの勢いに乗った新興レーベル、トーキン・ラウドからリリースされUK国外にも広まっていったが、もともとはオマーの父が主宰するインディー・レーベル、コンゴ・ダンスから出されていたもの。ほとんどコルグM1のみでつくられたトラックはチープではあったが、そのロー・バジェットなつくりがかえってオマーのソング・ライティングの才や、独特の捏ね繰り回すようなヴォーカルを引き立たせているかのようで、才能の煌きや凄味を感じさせる傑作だった。

デビュー当初から何かと引き合いに出され、オマー自身も尊敬するスティーヴィー・ワンダーをして、「いつかオマーのようになりたい」と言わしめるほど、1stアルバム1枚で高い評価を得たオマーが、満を持してリリースした2ndアルバムが本作『Music』。
その簡潔にしてズバリと言い切ったタイトルが示すように、本作は音楽の素晴らしさを感じさせる傑作。オマーはもちろん、トーキン・ラウドとしても相当気合いが入っていただろう、じっくりと時間と予算をかけて制作されたと思しき本作は、前作のチープさは微塵もなく、豊穣なサウンドとリッチなメロディーが湯水のごとく溢れ出る極上のソウル・ミュージック。また、このレーベルらしいストリート・ソウル路線の曲や、レゲエやラテン、ジャズっぽいニュアンスの曲などもあり、アルバム全体の流れやバランスも心地いい。

短いアカペラによるイントロダクションに導かれてスタートするアルバム・オープナーのタイトル曲「Music」は、瑞々しいメロディーと豊穣なサウンドが気持ちよく広がっていく名曲で、オマー自身がほとんどの楽器を演奏している。同様にオマーがほぼ1人でつくった曲は他に、「Your Loss, My Gain」「Walk In The Park」「In The Mist Of It」があるが、演奏にも歌にもオマーらしいグルーヴが宿っている。

アルバム中で最もUKストリート・ソウル色の強い「You've Got To Move」は、レア・グルーヴ・テイストのファンキーなナンバーで、ヤング・ディサイプルズやガリアーノといったトーキン・ラウドのアシッド・ジャズ・アクトとの親和性高し。一方で、「Tomorrow」や「Winner」といったメロディアスな曲では、オマーがスティーヴィーから何を学んだのかがよく分かる。
ヘヴィーなドラムスとベースの動きがレゲエっぽいニュアンスを与える「Get To Know You Better」、色彩豊かなラテン調の「Tasty Morsel」、カーリーン・アンダーソンとデュエットする美麗なバラード「Who Chooses The Seasons」、アダルトなムードのジャジー・スロウ「Last Request」など、オマーの幅広い才能を見せつける、飽きのこないアルバム。