freeze
Freeze / Junie
 Westbound '75 

オハイオ・プレイヤーズ脱退後~Pファンク加入前の暫しの間、ウォルター "ジュニー" モリソンはソロ活動に転じ、3枚のアルバムをリリース。
この3枚のアルバムを聴くと、ウェストバウンド期のオハイオのサウンドがほぼジュニーの音楽性に拠っていたことや、Pファンクという怪物集団の中でもジュニーのカラーを浸透させていったことが分かる。
それにしても、この3枚のソロ作の自由奔放で奇想天外、それでいてキュートでファンキーな個性の爆発具合といったら。オハイオのサウンドをベースにしつつ、プンと臭う泥臭さや、魑魅魍魎が蠢くようなエグ味はやや減じているが、捻じくれまくったストレンジさや突き抜けたファンキー度合いは増していて、ジュニーのやりたい放題やっている感じ。

その3枚のなかでも、このソロ2nd『Freeze』はベストと言える出来。アルバム1曲目のタイトル曲「Freeze」から、シンセがグニャグニャとウネりまくるジュニー・ワールド炸裂。「Cookies Will Get You」は冒頭から約3分続くジュニーの語りがさすがに長過ぎるが、一旦演奏が始まるとヘヴィーなファンク・グルーヴに体を揺らされっぱなし。「Not As Good As You Should」は屈強なリズム・セクションがグルーヴィーにロールする。「Musical Son」はトーク・ボックスで「(Not Just) Knee Deep」に直結するようなリフをキメるという先進的過ぎる怪曲。

「Super J.」もトーク・ボックス仕様のスロー・ファンクで、粘っこく歪みまくったグルーヴが途轍もないファンクネスを生んでいる。エレガントなピアノ・バラード「World Of Woe」なんかを聴くと、後のプリンスの登場を予感させるが、アウト・キャスト(アンドレ3000)の『The Love Below』へもジュニーの影響が及んでいることが分かる。ガッシリとしたリズム・トラックにファンキーなクラヴィネットとトーク・ボックスが絡む「Granny's Funky Rolls Royce」、ラストの、前作『When We Do』収録の「Junie」をよりグルーヴィーに発展させた「Junie Ⅱ」まで、目くるめく音の冒険の連続に興奮必至。