soul fever
Soul Fever / Marie Queenie Lyons
 Deluxe '70 

数枚のシングルとアルバム1枚をリリースしたのみで、その後忽然と歴史の闇に消えた女性シンガー、マリー・クイニー・ライオンズ。
今ではレア・グルーヴ名盤として名高い、その唯一のアルバム『Soul Fever』は、キング傘下のレーベル、デラックスからのリリース。埃と油に塗れたザラついたグルーヴで、JBスタイルのファンクとアーシーなサザン・ソウルを聴かせる。マリーのハスキーでソウルフルなヴォーカルは、リン・コリンズやマーヴァ・ホイットニーなどのJBプロダクションのディーヴァ達よりも魅力的に響く。

本作中の1番人気は、アルバムのトップを飾る「See And Don't See」。引きずるようなファンキーなグルーヴに乗って、シャウト混じりのマリーのヴォーカルが愁いを滲ませる。
この曲以外にも、やはりファンキーな曲は聴きモノ揃い。抜群のノリでグイグイ押しまくるジャンプ・ナンバー「You're Thing Ain't No Good Without My Thing」、声を潰してドスを効かせるグルーヴィー・ソウル「Your Key Don't Fit It No More」、有名曲をファンキーに改変した「Fever」はなかなかカッコいいレア・グルーヴ・チューン。ドライヴ感溢れるファンキー・ソウル「I Don't Want Nobody To Have It But You」、「I'll Drown In My Own Tears」も男勝りのディープ・シンギングでカッ飛ばす。

その他、ややポップなノーザン調の「Daddy's House」「Snake In The Grass」でも迫力ある歌唱を聴かせる。軽めの「I Want My Freedom」もヴォーカルは激熱。バラードの「You Used Me」「We'll Cry Together」もグッと来る。アルバムのラストはJBの「Try Me」を情感たっぷりに歌い上げてくれる。