labcabincalifornia
Labcabincalifornia / The Pharcyde
 Delicious Vinyl '95 

ロサンゼルス出身のイマーニ、ファット・リップ、ブーティー・ブラウン、スリム・キッド・トレの4MCからなるヒップホップ・グループ、ファーサイド。
同じデリシャス・ヴァイナル所属のブラン・ニュー・ヘヴィーズの、USの著名ラッパー達とのコラボレーション・アルバム『Heavy Rhyme Experience Vol.1』に、無名の新人ながら参加した「Soul Flower」でお披露目の後、1stアルバム『Bizarre Ride Ⅱ The Pharcyde』をリリースし、大きな注目を集めた。

本作『Labcabincalifornia』は3年ぶりのリリースとなる2ndアルバム。
前作を全面的にプロデュースしたJスウィフトは本作には関与せず、代わって大半の曲でファーサイドのメンバー4人が楽曲ごとにそれぞれプロデュースを担当するなど、アーティストとしての成長を感じさせる。
一方、外部プロデューサーも招聘されているが、ベテランのダイアモンドDが1曲手がけた他、Jディラ(この時はまだジェイ・ディー)が5曲をプロデュース(うち1曲はコ・プロデュース)。当時のディラはQティップにフックアップされウマーに加入する前、まだ駆け出しのほぼ無名の新進プロデューサーで、自分も本作で彼のことを初めて知った。ファーサイドにディラを紹介したのもQティップとのこと(たしか、当初ファーサイドはQティップにプロデュースを依頼したが、ティップが多忙のため代わりにディラを推薦された、とかだったと記憶している)。
ハッチャけたノリと勢いが楽しい前作に対して、本作はグッと落ち着いた大人っぽい趣き。前作のようなパーティー・ラップも好きだが、個人的には本作の方がより好み。

まずは、シングル・リリースされた「Runnin'」が何と言っても素晴らしい。枯れた哀愁ギター・ループに魅了されるディラ初期の代表曲。歌うようなフロウのメロウな心地よさも堪らない。
その他、ディラ・プロデュース曲は、クールにレイドバックしたグルーヴにまったり落ち着いたラップを乗せる「Bullshit」、ジャジーな浮遊感を湛えたミッド・グルーヴ「Splattitorium」、後のウマー・サウンドにも通じるような「Drop」、フックを女性シンガーが歌う「Y?」など、ディラがATCQ『Midnight Marauders』から多くを学んだことが分かる。
ダイアモンドDのプロデュース曲「Groupie Therapy」は、カル・ジェイダーのクールなヴィブラフォンをサンプリングしたベテランらしい手堅く間違いない仕事ぶり。

ファーサイドのメンバーによるプロデュース曲も一様に質が高い。
アブストラクトな雰囲気の「Pharcyde」、ややR&B寄りのメロウなチルアウト・チューン「She Said」は気持ちイイことこの上ない。ジャズ・ファンクっぽいグルーヴの「Somethin' That Means Somethin'」、ジャジー&グルーヴィーな「Hey You」、ロイ・エアーズ「You Send Me」をサンプリングした「The Hustle」、ウータン・クラン「Da Mystery Of Chessboxin’」使いの「Devil Music」、ナズ「Life's A Bitch」のオル・ダラのトランペットをサンプリングした「The E.N.D.」など、まったく隙がない。