fire on ice
Fire On Ice / Terry Callier
 Elektra '78 

カデットから、 『Occasional Rain』『What Color Is Love』 『I Just Can't Help Myself』と、立て続けに傑作を発表したテリー・キャリアー。その後しばらくはリリースが途絶えたが、70年代も末になってエレクトラから2枚のアルバムをリリース。そのうちの1枚目が本作『Fire On Ice』。

カデット3部作でキャリアーの魅力を余すところなく最大限引き出した名プロデューサー、チャールズ・ステップニーは1976年に死去。前作でステップニーとともにアレンジャーを務めたリチャード・エヴァンスが、本作ではプロデュースも担う。他に、フィル・アップチャーチやモリス・ジェニングスなどの旧知のシカゴ人脈も変わらぬバックアップを務めるが、ジェイムス・ギャドソン、ポール・ハンフリーといった西海岸の手練のドラマーを起用しているのがカデット時代からの変化。

時代の変遷もあり、本作では以前のシカゴらしさや、いわゆるフォーキーな感触が薄まった一方、メロウな肌合いのサウンドやディスコにやや日和ったような曲が見られるようになった。キャリアーのヴォーカルも以前とはやや違った歌い方を一部の楽曲で試みていたりと、いろいろと試行錯誤の跡が見て取れる。さすがにカデット時代の傑作群と比較しては分が悪いが、それでも本作は70年代末としては良質なソウル・アルバム。

オープニングの「Be A Believer」はキャリアーがいつになく力強い歌唱を聴かせるアップ・ナンバー。「Holdin' On (To Your Love)」は円やかなメロウ・ミディアムで、都会的なサックスやストリングス・アレンジも相まって、コレはなかなか気持ちいい。アップ・テンポのダンス・ナンバー「Street Fever」、キャリアーの濡れた喉声が沁みわたるスロウ「Butterfly」、「I Been Doin' Alright Part Ⅱ (Everythings Gonna Be Alright)」はアーバンなグルーヴィー・ソウル。
タイトルからイヤな予感がする「Disco In The Sky」は、ディスコに拠ってはいるがそれほど悪くない。「African Violet」はスピリチュアルな雰囲気で、これはキャリアーらしい曲。ミニー・リパートンが楽園へと誘うメロウ・ナンバー「Love Two Love」、キング牧師に捧げた「Martin St. Martin」はカデット時代に通じる硬派な一面を窺わせる。