afrodesia
Afro-Desia / Lonnie Smith
 Groove Merchant '75 

オルガン・ジャズ・ファンクの大家、ロニー・スミス。
70年代初頭まではブルーノートからリーダー作をリリースしていたが、71年には新興のクドゥへ移籍し『Mama Wailer』をリリース。しかしどういうワケかクドゥからはこの1枚のみ。その後暫くはアルバム・リリースから遠ざかっていたが、75年にグルーヴ・マーチャントと契約しリリースした4年ぶりのアルバムが本作『Afro-Desia』。

70年代半ばになると、多くのジャズ・オルガン奏者がエレクトリック・ピアノへと移行し始めており、それはジョニー・ハモンド・スミスやジミー・マクグリフのような人達とて例外ではなかったが、ロニー・スミスにしてもオルガンをメインにしていたのは本作までで、次作『Keep On Lovin'』からはエレピやシンセへと移行している。
またジャケットに写るスミスの風貌にも大きな変化が表れる頃で、70年の『Move Your Hand』のカウボーイ・ハット以降はツバのある帽子を主に被っていたが( 『Drives』と71年の未発表ライヴ盤『Live At Club Mozambique』のハンチングという例外はある)、それも(イラストだが)本作までで、エレピへの移行と時を同じくして次作以降はドクター・ロニー・スミスのパブリック・イメージであるターバン姿となる。

アルバム・タイトル曲(とはビミョーに違うが)「Afrodesia」は、タイトルにあるとおりアフロなムード(あとラテン味も)を感じさせるジャズ・ファンク。とは言っても土着的な臭いは無く、安っぽいインチキ臭さにスミスらしさが漂う、怪しげで猥雑な、エスノでエキゾなサウンドが最高だ。
「Spirits Free」は15分に及ぶ長尺ナンバーで、太くウネるロン・カーターのベースを軸にグルーヴィーに展開し、最後まで飽きさせずに聴かせる。
「Straight To The Point」はパーカッションやホイッスルがサルサな雰囲気を醸す、極彩色のラテン・ジャズ・グルーヴ。「Favors」はスリリングに疾走する真夜中のジャズ・ファンク。ラストの「The Awakening」は、まったりムードでリラックスしたセッション。

ところで、本作のCDには注意が必要だ。
自分が所有しているのは2013年のPヴァイン盤CDだが、「Spirits Free」がオミットされ、代わりに77年の次々作『Funk Reaction』から3曲が追加され計7曲入りになっている(同時に『Funk Reaction』もストレート・リイシューされているので、この3曲はどちらにも収録されていることになる)。
更に曲順も入れ替えられているだけでなく、曲タイトルも変えられているのだ。「Afrodesia」はさすがにそのままのタイトルだが、他は変えられていて、「Favors」は地味に「Flavors」になってたりする(一方で『Funk Reaction』からの曲は変えられていない)。何でも、グルーヴ・マーチャントのオーナーであるソニー・レスターの意向なのだそう。どういう意図なのか分からないが、こんなことはスミスや作品に対する冒涜でしかないし、オーナーだからといってあまりにも横暴だろう。
どうやら2018年のソリッド盤もこのままになっている模様だが、Discogsで確認した限りでは2007年のカナダ盤ではオリジナル通りになっているようなので、買うならそちらだろう。何しろ、『Afro-Desia』と『Funk Reaction』ではかなり雰囲気が異なる(前述したように前者はオルガンで、後者はエレピ、シンセ時代)。自分はLPで聴いてようやく本作を落ち着いて楽しめるようになった。