these are the jbs
These Are The J.B.'s / The J.B.'s
 Now Again '14 

コレは、ブーツィー&キャットフィッシュのコリンズ兄弟ら、オリジナルJB'sの面々により1970年に録音、JB'sの1stアルバムとしてリリースが予定されていた作品。ブーツィーらの脱退やポリドールへのレーベル移籍などのゴタゴタにより、 『Love Power Peace』同様にお蔵入りとなってしまったブツで、2014年にナウ・アゲインが発掘し、アナログのみリリースされていたもの。
個人的な事情だが、10数年前に収納やら何やらの問題でレコードを全部処分して以降、まったくレコードを買っておらず、この作品もCD化されるのを待っていたのだが、一向にその気配がないことに痺れを切らし、長年の禁を破って先日アナログ盤を入手しようやく聴くことができた。

収録は全4曲。うち「These Are The J.B.'s」と「The Grunt」の2曲は、72年の正式な1stアルバム『Food For Thought』にも収録されたが、いずれもそちらよりは大幅に長いヴァージョンであり(おそらくシングル用にパート1とパート2に分けられる前の完全版で、「The Grunt」の方は『Funky Good Time : The Anthology』にも収録されていた)、他の2曲はどちらも10分超の長尺曲という、収録曲の少なさを補って余りあるヴォリューム。
そして、何よりその内容がモノ凄い。今回初聴となる「I'll Ze」「When You Feel It, Grunt If You Can」の2曲は、ともに「Super Bad」のセッション時に録音されたモノということで、まさに「Super Bad」に直結するような凄絶なハードコア・ファンク!

「I'll Ze」はマーヴァ・ホイットニー「It's My Thing」を軸にラフにジャムるライヴ感強めの録音。ブーツィーのベースとフランキー "キャッシュ" ワディー(!)のリズム隊がボトムをガッチリと支え、そこにギターやらホーンやらが思い思いに絡む。JBのフリーキーなオルガンもカッコよく目立っている。
「When You Feel It, Grunt If You Can」は、クール&ザ・ギャング「Let The Music Take Your Mind」、ミーターズ「Chicken Strut」、ジミ・ヘンドリクス「Power Of Soul」をメドレーで繋いだ14分超の曲だが、これがどれも原曲を凌駕するスーパー・ヘヴィー・ファンク。クレジットによるとこの曲のドラムは多分クライド・スタブルフィールドとのことで、硬いスネアの音が激タイト。ブーツィーのベースも相まって、トグロ巻く黒々としたファンクネスに激しく打ちのめされる14分超の悪魔的快楽。

もちろん「These Are The JB's」「The Grunt」も凄い。「These Are The JB's」の完全版は初めて聴いたが、『Food For Thought』収録版と比べると、パーカッションが前に出てアフロ成分濃縮増量で、これもよりライヴ感強めに感じる。まったりグルーヴィーに進行するお馴染みの前半部分から、じわじわとヘヴィーなグルーヴがウネりだす未知の後半部分の展開にゾクゾクくる。
そして、「The Grunt」の衝撃的なカッコよさは、やはり何度聴いても痺れまくり。実は、「The Grunt」のドラムもキャッシュだということに今更ながら気付いたのだが、過小評価に甘んじているこの名ドラマーの仕事を、改めてしっかり聴き直す必要が有るなぁと認識した次第。

それにしても、こんなファンク世界遺産級のお宝が約45年もの間、日の目を見ることなく埃をかぶっていたとは。そのまま発見されなければ全世界のファンカティアにとって大きな損失になっていたところだ。それに、もしかしたらどこかの倉庫にまだ見ぬお宝がゴロゴロ転がっているのかもしれない。もしそうなら、是非とも更なる発掘を願いたいところだ。