magicians holliday
Magicians Holiday / The Gap Band
 Shelter '74 

「Burn Rubber On Me」「You Dropped A Bomb On Me」といったファンク・ナンバーや、「Yearning For Your Love」や「Outstanding」がヒップホップ/R&Bで多数サンプリングされるなど、主に80年代に活躍したファンク・グループというイメージが強いギャップ・バンド。

本作『Magicians Holiday』は、74年リリースの1stアルバム。この時点では、ウィルソン3兄弟を軸にした7人組バンド。まだ70年代半ばということで当然ながら、後の洗練からは程遠い煤けた濁ったファンク・アルバム。
この後バンドはRCAから1枚出したあと、マーキュリー移籍を機に仕切り直し、ウィルソン3兄弟+サポート・ミュージシャンという体制に再編、マーキュリー1作目の『The Gap Band』を皮切りに『Ⅱ』『Ⅲ』『Ⅳ』とシンプルに数字だけのタイトルを冠したアルバムをリリースして行く。まるでこの『Magicians Holiday』やRCA盤は無かったものとされているような扱いだが、本作で聴けるロウなファンク・サウンドの方が好きな向きも多いのでは。

I-Yike-It」はクラヴィネットがビキビキ唸るグルーヴィーなファンク・チューン。「Backbone」は弾むピアノと陽気なホーン・リフがニューオリンズっぽさを醸すファンク。グルーヴィーに駆け抜けるポップ・ファンク「After All Is Said And Done」、チープなリズム・ボックスを鳴らしてスライ「Thank You」っぽいメロディーを歌う「Fontessa Fame」、「You Can Always Count On Me」はダニー・ハサウェイ「Little Girl」調のゴスペル・バラード。

Bad Girl」はヘヴィーに構えたイカツいファンク・ナンバー。「Easy Life」はクラヴィネットがグシャグシャとウネるスティーヴィー風のファンク。メロウなポップ・バラード「Loving You Is Everything」、「Tommy's Groove」は軽妙なリフがグルーヴを牽引するインスト・ファンクで、ここでもクラヴィが終始グショグショと蠢く。ラストのアルバム・タイトル曲「Magicians Holiday」も、チャーリーのヴォーカルもあってどこかスティーヴィーっぽい大上段に構えたバラード。