im real
I'm Real / James Brown
 Scotti Bros. '88 

本作は88年のリリースだが、CDを買ったのは90年頃。
それまでJBのアルバムは、デパートのワゴン・セールで買った廉価なベスト盤を1枚持っていただけだったので、この『I'm Real』が初めて買ったJBのオリジナル・アルバムということになる。

久し振りに聴き直してみたが、コレはなかなかの力作だと改めて認識。
60~70年代のJBファンクをサンプリング&ループすることで80年代に伸し上ってきたヒップホップを、オリジネイターたるJB自身が堂々と迎え撃つ。当時、UTFOやフォースMD'sから、リサ・リサ&カルト・ジャムやサマンサ・フォックスまで、ヒップホップ~R&B~ポップを股にかけて活躍していたプロデュース・チーム、フル・フォースがJB御大を全面バックアップ。
何か文句あっか?とばかりにJB自身のファンク・クラシックをサンプリングしまくった、ストリート直送のザラザラしたヒップホップ・ファンク・トラックに、我こそはヒップホップのゴッドファーザーなりと力づくで知らしめる、衰えぬ神通力ビリビリのJBのヴォーカルと、御大を盛り立てるフル・フォースのワサワサした集団ヴォーカル/ラップが、路地裏のヒリついた空気を醸す。数曲でメイシオ・パーカーも馳せ参じ、ボスへの変わらぬ忠誠を尽くす。

露払い的なフル・フォースのアカペラ「Tribute」に続き、「Give It Up Or Turnint A Loose」の初期ヴァージョンを思わせる、ザラついた打ち込みビートに気合い十分のJBが歌い飛ばすアルバム・タイトル曲「I'm Real」から、流石の貫禄を見せつける。
「Static」はレア・グルーヴ/ヒップホップ的なサウンドが猛烈にカッコいいファンク・チューン。Go-Goっぽいノリも堂に入った「Time To Get Busy」、ハード・ボイルドな男臭さ漂うスロウ「You And Me」ではメイシオのサックスが咽び泣く。

「Funky Drummer」を使い倒したトラックが反則気味な「She Looks All Types A' Good」では、メイシオも「Soul Power '74」を思わせるようなブロウを聴かせる。オールド・スクールなノリの「Keep Keepin'」でもメイシオは吹きまくり。
「Sex Machine」を一旦解体しヒップホップ的に骨格を組み直したような「Can't Git Enuf」は、途中「Doing It To Death」な3拍子展開を挟むニクい演出。唯一JB単独プロデュースとなる「It's Your Money$」は、やや古めかしいつくりのファンキー・ナンバーで、他局の尖ったプロダクションと比べるとさすがに分が悪いか。ラストの「Godfather Runnin' The Joint」はヒューマン・ビート・ボックスでビートを補強したJB賛歌。